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浅田次郎「薔薇盗人」

あらすじ…洋一少年が豪華客船の船長で航海中の父に手紙を送る。

 主人公の母親は夫が長期不在で暇を持て余した有閑マダム。そして主人公の担任の先生(ニック)は若くてイケメン。あっ…(察し)。
 どういうことかは本書を読んでのお楽しみとさせていただきますが、薔薇盗人の正体を含めて子供の洋一少年にはわからないものの大人の読者には「ああそうか」とわかる仕組みになっています。

【参考文献】
浅田次郎『薔薇盗人』新潮社

浅田次郎「ひなまつり」

あらすじ…夜、小学生の弥生が自宅で一人留守番をしながらボール紙の雛飾りを作っていると、そこへ母親の恋人だった吉井がやってくる。

 こんなセリフを発見。

「渋谷橋からね、渋谷が見えるんだよ。ねえ、ちょっとだけ」(P258)

 少々調べてみると、渋谷橋は今もあり、JR恵比寿駅の近くにあるらしい。恵比寿と渋谷は近いから、当時(1964年の東京オリンピック開催直前)は見えたのでしょうな。今はどうだかわかりませんが。
 尚、主人公と母親はそこから更に歩いて三軒茶屋の自宅まで歩いて帰るのですが、ちょっと距離があります。私は恵比寿から三軒茶屋まで歩いたことはありませんが、三軒茶屋から渋谷まで歩いた経験はあり、手許の地図で確認すると直線距離は大体同じくらい。う~ん、あれぐらいなら歩けるか。

【参考文献】
浅田次郎『薔薇盗人』新潮社

【追記】
 後日、恵比寿に立ち寄る機会があったので、渋谷橋を見てきました。渋谷橋はJR恵比寿駅の北東、駒沢通りと渋谷川が交差するところにあります。
 で、渋谷橋から渋谷方面を撮影した写真がこちら。

渋谷橋

 狭い川の両岸にビルやマンションがびっしりと建っており、渋谷は見えませんでした。

浅田次郎「佳人」

あらすじ…老母が自分の部下(吉岡)に見合いをさせてはどうかとすすめてくる。とりあえず吉岡と母を会わせてみることに。

 ユーモアあふれる小品。
 ネタバレ防止のために結末は伏せておきますが、最後のオチには笑っちゃいました。ともかくもハッピーエンドってことでいいんじゃないでしょうか。

【参考文献】
浅田次郎『薔薇盗人』新潮社

浅田次郎「奈落」

あらすじ…高層エレベーターで転落死した男の葬儀が執り行われる。

 葬儀に参加した者たちの会話を通して、故人(片桐忠雄)の人物像が浮き彫りになってゆく、というものです。最初はOLたち、次に通夜の番人、そして会社の同期2人、最後に会長と社長。
 ただし、彼らは事件の全体像を把握しておらず、又、各人の情報を取りまとめる探偵役も出てこない。ネタバレ防止のために結末は伏せておきますが、彼らの語ることがどこまでが真実でどこまでが嘘か確かめようがないまま話が終わっており、モヤモヤしたものが残りましたわ。

【参考文献】
浅田次郎『薔薇盗人』新潮社

浅田次郎「死に賃」

あらすじ…会社社長の大内惣次は、親友の小柳がどうやら大金を払って安らかな死を迎えたらしいことを知る。

 安らかな死。つまりは安楽死ですか。
 現代日本ではまだ安楽死は認められていないし、よしんば認められたとしても要件は厳しくなるから、大金を払ってでも安らかな死を迎えたいという需要はあるのかもしれません。
 しかし、技術的にそれが可能なのか(それができるレベルの医療技術を提供できるのか)、倫理的・法律的問題、遺産から「死に賃」分を減らされた遺族の不満など、ちょっと考えただけでも障害は多い。

【参考文献】
浅田次郎『薔薇盗人』新潮社

浅田次郎「あじさい心中」

あらすじ…出版社をリストラされたカメラマンの北村が、たまたま逗留した温泉街でストリッパーのリリィと出会う。

 タイトル「あじさい心中」で予想が着くかもしれませんが、この後北村とリリィは心中しようという話になります。
 出会ったその日に心中というのは…2人とも自殺願望があったんですかねえ。

【参考文献】
浅田次郎『薔薇盗人』新潮社

山本周五郎「ひとごろし」

あらすじ…お抱え武芸者の仁藤昂軒が小姓の加納平兵衛を斬って逐電する。臆病者の双子六兵衛が昂軒を上意討ちすることになるが、まともに戦ったのでは決して勝てない。そこで六兵衛が取った手段は…。

 松田優作主演の映画「ひとごろし」の原作小説。その映画では仁藤昂軒と加納平兵衛の殺陣が描かれていましたが、こちらの小説ではあっさりとした記述で済ませていて詳しい経緯は不明。映画化に際しては演出の一環として殺陣を盛り込んだのでしょう。

 それにしても、双子六兵衛の「弱者の戦い方」は痛快ですな。ここまで徹底していると、かえって清々しい。それから、六兵衛が仕掛けているのが「心理戦」だと考えるならば、六兵衛もなかなかの策士だと言えます。

【参考文献】
山本周五郎『ひとごろし』新潮社

山本周五郎「改訂御定法」

あらすじ…御定法が改訂されたために裁判が急増し、藩は対応に苦慮していた。そんな中、要屋が藩士の矢堂玄蕃を債務不履行で訴え出た。御定法の改定に反対して閑職に左遷されていた中所直衛が裁定に乗り出す。

 法律というものは作ったらそれで終わりではなく、それをどのように運用してゆくのか、そしてそれがどう使われるのかといった問題があります。
 例えば…そうですな、現代の話をしたら政治論争になりそうだから、ここは物語の舞台と同じく江戸時代の法律を持ち出しましょうか。そう、例えば、生類憐れみの令。詳しい経緯は省略しますが、あれなんかは「お犬様」をのさばらせる悪法になっちゃいましたっけ。

【参考文献】
山本周五郎『ひとごろし』新潮社

山本周五郎「しゅるしゅる」

あらすじ…老女・尾上(おのえ)の指導が厳しすぎると周囲にせっつかれた若き城代家老・由良万之助は、渋々尾上に注意することを引き受ける。

 老女、と聞いて私は老婆の姿を思い描いていたのですが、なんと尾上は御年27歳。
 だとすると、老女というのは家老や老中と同じく役職名であって当人の年齢層を指しているのではないということになります。
 とここまで考えてきて、ひょっとしたら作者(山本周五郎)は読者に、序盤で私がやらかしたような誤解をさせることを意図していたんじゃないかと少々疑いました。

【参考文献】
山本周五郎『ひとごろし』新潮社

山本周五郎「暴風雨の中」

あらすじ…暴風雨(あらし)の中、三之助は家の二階で独り寝ころんでいた。とそこへ、一人の男がやってくる。

 舞台は一軒の家のみで、登場人物は3人だけ。三之助の過去の経緯が登場人物たちの口から語られる。
 なんだ、これじゃあまるで一幕物の舞台演劇じゃないか。そう考えればセリフが多いのも納得が行きます。

 それはさておき、本作では話が進むにつれて家がどんどん壊れて行き、それがスリリングさを与えています。舞台でこれをやるとなると、大勢の黒子が動いてセットの家を徐々に崩壊させてゆく、というものになるんでしょうかねえ。

【参考文献】
山本周五郎『ひとごろし』新潮社

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