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牧田幸裕『ラーメン二郎に学ぶ経済学』東洋経済新報社

 まず最初に自分の立ち位置を述べておくと、私は二郎系ラーメンを食べたことはあるもののラーメン二郎へは行ったことがない。従って、私はジロリアンではないが、大ボリュームのラーメンを食べ切った時の達成感なら味わったことがあります。

 さて、それでは本書の内容に少し触れるとしましょう。
 ラーメン二郎の愛好家をジロリアンというのですが、そのジロリアンについて、「顧客であるのと同時に、ジロリアンは二郎のエバンジェリスト(伝道師)である」(P171)と述べています。
 店にしてみれば顧客が勝手に宣伝してくれるので、その分の宣伝費を抑えられる、というメリットがあります。もちろん顧客だって宣伝してくれるとは限らないし、更に言えば店が望んだ内容を宣伝してくれるとも限らないので注意が必要です。
 では、どうやって顧客を伝道師に仕立て上げるのか? それを知りたければ本書をお読み下さい。あるいは、自分の胃袋に自信があるのなら、二郎に挑戦して自分なりに考察してみるのもいいかもしれません。

【参考文献】
牧田幸裕『ラーメン二郎に学ぶ経済学』東洋経済新報社

日高義樹『2020年 石油超大国になるアメリカ――追い詰められる中国 決断を迫られる日本』ダイヤモンド社

 本書は2013年5月13日発行。アメリカではオバマ政権の2期目がスタートして数ヶ月経った頃です。

 さて、本書のタイトルにある「石油超大国になるアメリカ」とはどういうことでしょうか。本書の記述によると、アメリカが「二〇二〇年、世界最大の産油国になる」(P25)とか。本当にそうなるのならば、日本にとっても石油の安定確保につながるというメリットがありますな。本当にそうなるのなら、ね。
 なぜ私がこんな風に書くのかというと、現時点でそういう話がこっちまで聞こえてこないから。まあ、私は今、トランプ政権のドタバタぶりに注目しているので、石油関連の情報を聞き逃しているだけなのかもしれません。
 ああ、そうそう、アメリカが石油を大増産すれば、トランプ大統領はツイッターで、「俺の手柄だ!」と誇示しそうなものです。そのツイートが真実か「もう一つの真実」なのかはともかくとして…。

【参考文献】
日高義樹『2020年 石油超大国になるアメリカ――追い詰められる中国 決断を迫られる日本』ダイヤモンド社

苫米地英人『カジノは日本を救うのか?』サイゾー

 本書は第二章で「日本にカジノを作るべき理由」(P49-84)と題してカジノ推進論を、そして第三章で「日本にカジノを作るべきでない理由」(P85-157)と題してカジノ反対論を述べています。要は両論併記ですが、ページ数では反対論の方が厚い。
 推進する理由より反対する理由の方が多いということか。

 それはさておき、本書の中に、電通に関するこんな記述がありました。

 天下の電通ですから、カジノ関連で稼ぐ手段はあれこれあるのでしょうが、広告という点で考える限り、最も儲かりそうなのはカジノのイメージ広告です。
 当然ながら、カジノには「博打」という負のイメージがあります。
 それを払拭するために、「豪華」で「煌びやか」で「クリーン」なイメージを、一般の人たちに植え付け、また、観光事業の立役者であるかのようなイメージを広めるための広告には、かなりの需要があるはずです。
 とにかく一般の人たちの負のイメージを払拭するようなプロパガンダを発信し続ける必要が出てくるので、そこから収益を得ようという目論見があるのです。
(P103)

 プロパガンダムービーを色々と観てきた私にとっては、実に興味深い。
 カジノ開業の暁には、所管官庁の外郭団体や運営会社などから様々な形のプロパガンダ作品が出ることでしょう。TVのCM、パンフレット、ガイドブック、看板、販促キャンペーン、…。
 さすがに全部をチェックすることはできませんが、映像作品ならば視聴してみたいものです。YouTubeチャンネルで無料配信してくれればありがたい。もちろん、その時は一人の視聴者として、評価するところは評価するだろうし、批判するところは批判する所存です。
 ちなみにこういったプロパガンダ作品は、当然のことながら作るには金がかかるし、電通だってマージンを取ります。ではその費用はどこから出るのかというと、とどのつまりはカジノの収益、即ち客がカジノでスッた金でしょうな。

【参考文献】
苫米地英人『カジノは日本を救うのか?』サイゾー

【関連記事】
竹腰将弘・小松公生『カジノ狂想曲 日本に賭博場はいらない』新日本出版社

『日本貨幣カタログ2017』日本貨幣商協同組合

 小判や古銭、記念貨幣などのカタログ。
 私は別にこれらをコレクションしているわけではないのでその方面には疎いのですが、「(4)地方自治体法施行60周年記念貨幣」(P56-74)の各都道府県の記念貨幣の図案を見ているだけでも面白い。
 例えば富山県1000円銀貨の図案は「雨晴海岸から望む富山湾越しの立山連峰」(P59)と、雨晴(あめはらし)海岸・富山湾・立山連峰の3つを盛り込んでいます。欲張りだなあ。
 ちなみにこの富山県1000円銀貨、単体では12,000円します。額面の12倍です。つまりはそれだけの価格を支払って購入するコレクターがいるということか。

【参考文献】
『日本貨幣カタログ2017』日本貨幣商協同組合

大竹慎一『ウォール街からの警告 トランプ大恐慌』李白社

 巻末の奥付によると本書は2017年5月31日第1刷発行。で、本書ではこう述べています。

 端的に言えば、アメリカはこの秋、株の暴落に晒される。(P3)

 そしてトランプ大恐慌へ。
 尚、私が本書を読んだ平成30年(2018年)5月時点で株の暴落及びトランプ大恐慌は起こっていません。つまり、この本の経済予想は外れています。
 しかし、だからと言って本書を投げ捨てるのは早計ですぞ。著者(大竹慎一)はニューヨークのファンドマネージャーですので、例えばウォール街の雰囲気を知るには有用かもしれません。
 というわけで、少し読み進めてみるとこんな記述が。

 グーグルなど自力で動いてグローバルでいくらでも儲けられる企業は別格として、やはり1%の上層の連中にしても、トランプという勝ち馬に乗って、お墨付きビジネスになびくほうが楽に決まっている。トランプに反対する方向に動くのはほんの一部でしかない。(P19-20)

 「トランプという勝ち馬に乗って」で私が想起したのは、クリス・クリスティとポール・ライアンです。彼らは政界の人間ですが、財界にもそういう手合いがいたっておかしくない。
 などと思っていたら、製薬大手ノバルティス社と通信大手AT&T社が、当時トランプの個人弁護士だったマイケル・コーエンに多額の金を払っていたことがロバート・モラー特別検察官の捜査によって明らかになりました。なるほど、こういう勝ち馬の乗り方もあるんですね(1%の連中にしかできないやり方だ!)。

【参考文献】
大竹慎一『ウォール街からの警告 トランプ大恐慌』李白社

【関連記事】
ドナルド・トランプ(目次)

藤木TDC『東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く』実業之日本社

 終戦直後に各地に誕生したヤミ市と、それがその後どうなったのかを綴ったもの。
 で、やっぱり書いてありましたよ、新宿の思い出横丁が。

 さて、新宿でヤミ市といえば忘れてならないのは駅西口側の総武線高架と靖国通り大ガードにはさまれた「思い出横丁」(俗称・ションベン横丁)であろう。戦後から場所が変わることなく、店舗の狭小感・密集感もそのままに110余店が営業を続けているヤミ市跡として希少かつもっとも有名な場所である。(P93)

 思い出横丁は通過したことがあるし、そこで昼飯を食べたこともありますけど、それが私にとってはヤミ市に近付いた経験だったのかもしれません。ただし、念のために言っておきますが、現在の思い出横丁はヤミ市の痕跡を比較的強く残しているとはいえ、もはやヤミ市ではありませんのでご注意を。
 とはいえ、あの暗く狭い路地を歩くだけでも、「ヤミ」の感覚を味わえるんじゃないでしょうか。

【参考文献】
藤木TDC『東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く』実業之日本社

宮本雅史『爆買いされる日本の領土』株式会社KADOKAWA

 中国人(および中国企業)が北海道の土地を買いまくっているぞ、と警鐘を鳴らしている本。それから、対馬が韓国資本に買われている現状も併せてレポートしています。
 ただ、ここで忘れてはならないのは、日本の領土がいくら爆買いされようとも、そこは依然として日本の領土である、ということです。即ち日本の施政権下にあり、日本国の法律(自治体によっては条例も)が適用されるということです。
 著者(宮本雅史)は本書の最後の方で「外国資本に対する法整備、ルール作りなど手を打つこと」(P248)を訴えていますが、これも日本の領土だからできる一つの手です。
 それから、日本はどこかの一党独裁の国とは違って言論の自由があるのだから、本書のように注意喚起をするのもいい。ただし、ただ注意喚起すればいいというわけではなく、情報の裏取りなどをきっちりやっておかなければ警鐘の信憑性が高まらない。そこは注意が必要です。

【参考文献】
宮本雅史『爆買いされる日本の領土』株式会社KADOKAWA

『富山産業観光図鑑2017』富山県広域産業観光推進員会 富山県商工会議所連合会

 富山県の産業及び観光のガイドブック。
 巻末には北陸新幹線について書かれているのですが(P41-44)、その中にこんな記述がありました。

 北陸新幹線が大阪まで全線開業すると、北陸・信越、関西圏、中京圏、首都圏が新幹線のネットワークでつながり、世界的な経済・文化圏となる「大ゴールデン回廊」が創出されます。(P43)

 世界的な、とは大きく出たな。気宇壮大というべきか、大言壮語というべきか。

富山産業観光図鑑2017

『週刊 新宿新聞 8月25日 2016年(木曜日)(第1991号)』新宿区新聞社

 トップ記事は「新たに10棟のホテル建設」。訪日外国人の増加を受けて、新宿では今後新たに10棟のホテルが建設されるとのこと。
 民泊よりもホテルの方が設備やノウハウが充実しているから、民泊が増えるよりホテルが増える方がいいか。

週刊 新宿新聞 8月25日 2016年(木曜日)(第1991号)

田島慎一『世界中のお菓子あります ソニープラザと輸入菓子の40年』新潮社

 何年か前にソニービルへ行った時、地下に何やら店舗があったように記憶しております。本書はその店で販売してきた輸入菓子の数々を紹介しているもので、あそこでそんなものを売っていたのかと改めて知りました。
 バタークッキー、ブレークチョコ、マカデミアナッツチョコレート、米国製コーラ、ジェリーベリーなどなど。色々あります。
 本書を読んでいると輸入菓子を食べたくなったけどわざわざソニープラザ(現プラザスタイル)まで足を運べない、という人がいるかもしれません。でもご安心あれ、今ではスーパー、量販店、百貨店などでも大量販売してますから。
 本書ではプラザ合意(1985年)後にこのような状況になったと述べています。

 あらゆる輸入菓子が高級品として扱われた時代の終わりでした。量販店が輸入品を大量に仕入れては二束三文で売り飛ばし始め、値崩れが止まらなくなりました。(略)
 大手スーパーだけではありません。百貨店も量販店も、こぞって輸入菓子を大量購入・廉価販売し、海外ブランドの価値はみるみる下がっていったのです。“輸入品信仰”の終焉でした。
(P126-127)

 プラザ合意には輸入品信仰を終わらせる効果もあったのか。

【参考文献】
田島慎一『世界中のお菓子あります ソニープラザと輸入菓子の40年』新潮社

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