【訃報】
千玄室死去の報に接し、緊急で彼のインタビュー記事を取り上げた書評を投稿することにしました。ご冥福をお祈りいたします。
インタビュー記事「私の戦争は終わっていない――千玄室」(P4-13, 取材・構成:永田渚左)にて、トランプについて言及したくだりがありました。少々長くなりますが、引用します。
――差別や区別なくどんな方にも分け隔てなくお茶を差し上げる。その精神文化は素晴らしいですね。
千 お茶の外交です。お茶はどんな場合でも、どんな場所にも入っていけます。お茶は芸術か否かと言われますが、宗教的なところもあり、道徳的修道的な側面もあり、無の境地という哲学的な面もあり、さらに人をもてなす社交性もあります。大変に難しい問題を互いの立場を主張してまともに交渉したらケンカになります。トランプ(アメリカ合衆国大統領)とゼレンスキー(ウクライナ大統領)が最初に会談したときも最後はケンカ腰でした。クリティカルな危機的問題や状況を抱えているときこそ、その前に「お茶をどうぞ」ですよ。(中略)アメリカはトランプになって言いたい放題で朝令暮改みたいなことばかりになって、それでストロングアメリカ?冗談じゃない。ああいう連中にこそ「まずお茶をどうぞ」と言いたいですよ。(P11-12)
「お茶の外交」で想起したのが、映画「鑓の権三」です。その映画では、江戸で主君のお世継ぎとなる男子が生まれたので、そのお祝いに国許では近隣の大名家と茶会を開くことになります。つまり、お茶が外交で使われるわけです。
次に、トランプとゼレンスキー会談ですが、あの口喧嘩は私も観ましたけど、ひどかったという印象が残っています。密室ではああいうのがあってもおかしくないのですが、カメラが回っているところではやるべきじゃない。醜態をさらすだけです。
それから、「アメリカはトランプになって言いたい放題」とありますが、言いたい放題なのはトランプとその追随者たちです。私の見るところ、正気を保っているアメリカ人はまだまだいて、例えばまともな人間は、「故ハンニバル・レクターは素晴らしい人物だった」なんて言いません。
最後に「お茶をどうぞ」ですが、トランプはお茶は飲まないでしょうな。ダイエットコークばかり飲んでいますから。もっとも、そう思ってしまうのは私が茶道に疎いからで、千玄室くらいの茶道の熟達者の手にかかれば、トランプにもお茶を飲ませることができるのかもしれません。

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