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『METROPOLIS June 2018』メトロポリスジャパン

 本誌P34に小池百合子東京都知事のインタビュー記事を掲載。本誌は英語誌なので記事は全文英語です。
 というわけで、一部訳してみました。

【拙訳】
メトロポリス:2020年オリンピックの準備に向けて、外国人居住者にどのような周知をしていますか? ここに住んで働く外国人に、その大会はどんな効果があると思いますか?
小池:私たちは現在、東京の(外国人)コミュニティに英語及び他の言語で知らせる準備をしています。最近、私たちはオリンピックのための新しい道路の建設を正式決定しました。それが、私たちがオリンピックについてさらに公報し、広告を計る理由です。
(P34)

 後半の質問には答えていないような気がしますが、それなら私が代わりに答えるとしましょうか。
 愚考するに、お祭り効果はあると思います。彼ら外国人居住者だってそれぞれ自国の選手を応援しますからね。

METROPOLIS June 2018

『2018 紀伊國屋じんぶん大賞 読者と選ぶ人文書ベスト30』紀伊國屋書店じんぶん大賞2018事務局

 第20位に佐藤優『学生を戦地に送るには 田辺元「悪魔の京大講義」を読む』新潮社がランクイン。佐藤氏の著書はいくらか読んでいたので引っかかった次第。
 紹介文をちょっと引用します。

 今の日本政治に対する佐藤優の危機感が強く表れた講義録です。

 だとすると、本書のタイトルが意味するものは…。

2018 紀伊國屋じんぶん大賞 読者と選ぶ人文書ベスト30

町山智浩『実況中継 トランプのアメリカ征服 言霊USA2017』文藝春秋

 週刊文春連載のコラムをまとめたもの。
 表紙の巨大トランプロボットの頭に搭乗してこれを操縦しているのが、スティーブン・バノン。彼は影の大統領とも呼ばれていましたっけ。

「暗黒はね、いいもんだよ」
 ハリウッド・レポーター紙(11月18日付)の取材にバノンはこう答えている。「ディック・チェイニー、ダース・ベイダー……暗黒は力だ」
(P279)

 日本だったら中二病をこじらせているイタい人扱いされそうですが、こんなのがアメリカ大統領のブレーンを務めていたわけですな。もっとも、バノンは一年ももたずに顧問をクビになりましたが。

 次に、トランプの経済政策についても少し触れておきます。

 トランプがいくら輸入品を規制しても、ラストベルトの工業地帯は復活しないだろう。工業そのもののオートメーション化が進んで、昔ほど人手を必要としなくなったからだ。(P263)

 著者(町山智浩)はこのように見通しを語っていますが、それでも少しは雇用が増える。どんなにオートメーション化が進んでもこれを操作する人員は必要だし、稼働している工場には清掃員や警備員などが必要になるからです。
 するとトランプ大統領はこれを大袈裟にアピールし、「俺の手柄だ!」と自慢。彼の支持者たちはそれを「真実」(いわゆるポスト真実)として信じるし、これに対して誰かが数字を挙げて反論したとしても「フェイクニュース」として排撃される…。
 そんな光景が目に浮かぶようです。

 それから、私は今回本書を読んで、"Heil, Trump!"(P200)や"Gays for Trump"(P264)といったトランプネタを新たに採集することができました。今後の話のネタに活かしていきたいと思います。

【参考文献】
町山智浩『実況中継 トランプのアメリカ征服 言霊USA2017』文藝春秋

ドナルド・トランプ

【関連記事】
ドナルド・トランプ(目次)

竹腰将弘・小松公生『カジノ狂想曲 日本に賭博場はいらない』新日本出版社

 タイトルで一目瞭然ですが、日本でのカジノ解禁に反対する本。
 本書の中でカジノ反対論を述べる議員が日本共産党の議員ばかりだなあと思っていたら、巻末の奥付の「著者紹介」にこうありました。

竹腰将弘(たけこしまさひろ)
 1961年北海道生まれ。「しんぶん赤旗」社会部記者

小松公生(こまつきみお)
 1956年岩手県生まれ。日本共産党政策委員会 政治・外交委員

 しんぶん赤旗は日本共産党が発行する機関誌であることは改めて申し上げるまでもありますまい。又、本書を発行している新日本出版社は共産党系の書籍を多く出版しているところです。
 そもそも日本共産党はカジノ解禁に反対しており、本書はその主張を形にしたものだ、と見ることができるのです。

 さて、本書の中味についても少し取り上げることにしましょう。
 本書ではカジノの問題点を色々と挙げていますが、その中でこんなことを書いています。

 さらに問題なのは、カジノを開設したからといって、自動的に成功が保障されているわけではないということです。つまり、大王製紙の井川前会長のようなVIPをどれだけ確保できるかが、カジノの運営と収入を決定的に左右します。(P131)

 そういえばドナルド・トランプもカジノ経営には失敗していましたっけ(トランプ・タージ・マハル)。
 それにしても、「井川会長のようなVIP」ですか。彼らVIPは、自分のポケットマネーだけで遊んでいる分にはいいんでしょうけど、引用文中に出てきた井川意高(もとたか)氏のようにやらかしてしまうのは困る。大王製紙がどれだけダメージを負ったのかを見れば、井川氏の「自己責任」だけでは到底片付けられないからです。

【参考文献】
竹腰将弘・小松公生『カジノ狂想曲 日本に賭博場はいらない』新日本出版社

【関連記事】
苫米地英人『カジノは日本を救うのか?』サイゾー

菅野完『日本会議の研究』扶桑社

 安倍晋三政権を支える圧力団体・日本会議とは何かを突き止めようとした労作。尚、私がここで「突き止めようとした」と書いたのは、本書巻末の「むすびにかえて」(P295-298)で著者が「あまりにも大量の『書かねばならぬのに書けなかったこと』がある」(P295)と述べているのを受けてのことです。
 とはいえ、生長の家(※)との関係や元号法制定運動、憲法改正など大まかな流れはわかるので、一般教養として読むには充分だと思われます。

 ところで、本書において著者(菅野完)は色々と毒舌をふるっています。例えば2015年の「今こそ憲法改正を! 武道館一万人大会」についてリポートしたくだりで、こんなことを書いています。

 国歌斉唱の他に、会場の一体感が生まれた瞬間があと2つある。「日本国憲法を作った国・アメリカ出身です」と自己紹介したケント・ギルバートが「(9条を堅持するのは)怪しい新興宗教の教義です」と発言した瞬間と、当日予告編が初上映された改憲プロパガンダ映画のプロデューサーだという百田尚樹が「(日本人の目をくらますのは)朝日新聞、あ、言ってしまった」と発言した瞬間だ。
 ケント・ギルバートの発言は、彼がモルモン教の宣教師として来日したことや当該発言が崇教真光や霊友会や佛所護念会教団の動員によって占められる聴衆に向かって発せられたことを考えると、「2015年おまえがいうな大賞」でも授与したいところだ。百田尚樹の発言も「まだそのネタで飯を食おうとしてるの?」と哀れみをもって接するべき性格のものでしかない。
(P131)

 よくもまあここまで書いたものだ。これは著者の性格によるところが大きいんじゃないかと思います。
 読者の皆さんは、本書を読む上で彼の毒気に当てられないようご注意下さい。
 尚、引用文中に出てきた「改憲プロパガンダ映画」とは、どうやら「世界は変わった 日本の憲法は?」というドキュメンタリー作品らしい。これは40分程の長さで、(本記事を書いている時点では)YouTubeで無料公開されています。
 この映画についても言いたいことはありますが、そもそも本記事は『日本会議の研究』のレビューなので割愛。ともかくも、日本会議の主張を知る上で貴重な資料だと言えます。

※本書の中でも度々指摘されているが、生長の家は現在、政治運動からは手を引いている。

【参考文献】
菅野完『日本会議の研究』扶桑社

『intoxicate #132 2018 February』タワーレコード

 「ドナルド・トランプと2017年アメリカの音楽」(P06-07, text:五十嵐正)という記事に注目。トランプに抗議する楽曲の数々を取り上げています。
 正直言って、こんなにあったのかと驚きましたが、トランプならばさもありなんとも思います。
 ところで、本記事の中でニール・ヤングの「Already Great」という曲が取り上げられていました。もちろんこのタイトルは、トランプの選挙スローガン"Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)"に対して、アメリカは既に偉大だよと言っているわけです。
 それから、この曲の歌詞を途中まで訳してみました。ミュージックビデオでは語りかけるような曲調に感じられたので、そういう風に訳すよう心がけました。

【拙訳】
「もう偉大だよ」

ところで俺はカナダ人だけどさ
アメリカは大好きだぜ
(アメリカの友人よ)
こいつが気に入ってるんだ
活動の自由と言論の自由

もう偉大だよ
あんたはもう偉大だよ
あんたは約束の地
あんたは救いの手

今朝起きて
あんたとあんたの新しい取引について考えている
(アメリカの友人よ)
あんたのくつに合わせようとしている
あんたの感じるように感じようとしている

もう偉大だよ
あんたはもう偉大だよ
あんたは約束の地
あんたは救いの手

壁もいらない
禁止令もいらない
アメリカにファシストはいらない

壁もいらない
禁止令もいらない
アメリカにファシストはいらない
(以下略)

 歌詞の中で言及されている壁というのは、トランプが建設を訴えているメキシコ国境の壁、いわゆるトランプ・ウォールのことでしょう。それから、禁止令はイスラム圏の国々からの入国を禁止する大統領令だと思われます。ファシストについては言わずもがな。

 さて、話を記事に戻します。
 この記事では他にも興味深い曲が見受けられますが、それらについては省略。後はご自分の目と耳でお確かめ下さい。

intoxicate #132 2018 February

【関連記事】
ドナルド・トランプ(目次)

右田早希『AIIB不参加の代償』KKベストセラーズ

 本書の主張を簡単にまとめると、大体以下の通り。
「日本がAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加しなかったのは誤りで、日本は国際的に孤立してしまうぞー!!!」
 上記のカギカッコ文は私が噛み砕いて書いたものですが、本書の文章を引用すると以下の通り。

 日本外交は、1930年代に引き続いて、「孤立への道」を選択してしまったのである。(中略)だが今回の孤立は、ただの「老人国家の引きこもり」である。(P171)

 AIIBに参加しなかっただけで孤立と表現するのも妙な話だし(日本が参加している国際的な枠組なら他にいくらでもある)、こんなことで引きこもり認定されてはたまったものではない。
 とはいえ、本書にも有用性はあります。例えばアジア諸国の経済閣僚や中国官僚へのインタビューが載っていて、それはそれで参考になる。又、AIIB設立の経緯も書いてあるので、詳しく知らない人にはこれまた有用です。

【参考文献】
右田早希『AIIB不参加の代償』KKベストセラーズ

辺真一『大統領を殺す国 韓国』角川書店

 本書の第1章~第9章では韓国の歴代大統領(およびその悲惨な末路)を振り返り、第10章で「韓国大統領はなぜ殺されるのか」について述べています。
 尚、本書は朴槿恵政権時代に書かれたものなので、彼女がその後どうなったのかまでは書かれていません。ただ、任期を全うできずに弾劾・逮捕というのは、歴代大統領の中でもひどい方じゃないかと思えてきました。命がある分だけ、暗殺よりはマシという程度でしょうか。

 それにしても、こうやって大統領が殺され続けていると(※)、元大統領(大統領経験者)を使った外交ができなくなります。
 例えば本書P133では、1994年にアメリカのカーター元大統領が北朝鮮へ特使として派遣されたことが出てきますが、韓国にはそういったことができない。もちろん、首相で「代用」することも可能でしょうけど、重みが違う。特に韓国の場合、大統領の権限が大きいから尚更です。

※「殺され続け」という不穏当な表現はいかがなものかと思う人もいるかもしれませんが、これは本書のタイトルの表現を借りたものです。

【参考文献】
辺真一『大統領を殺す国 韓国』角川書店

『TOKYO HEADLINE Vol.702 2018 1月8日~2月11日』株式会社ヘッドライン

 4面に小池百合子東京都知事のインタビュー記事を掲載。2020年東京オリンピックや東京マラソンなどについて語っており、政治闘争に関する話は見受けられませんでした。
 で、記事の最後はこうしめくくっています。

 都知事自身が2018年に挑戦したいことはなんですか?
「ずっと考えているんですけど、なかなか浮かばないんですよね。どうしよう…まずは来年度予算を成立させることですね(笑)」
(4面)

 もし仮にあったとしても、そう簡単に手の内を明かすわけがあるまい。あるいは言葉通りだとしたら、それはそれで結構。予算を通すのも大事な務めですから。

TOKYO HEADLINE Vol.702 2018 1月8日~2月11日

エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』文藝春秋

 フランスの人類学者エマニュエル・トッドへの複数のインタビュー記事をまとめたもの。

 さて、「ドイツ帝国」とカギカッコが付いていることに留意されたい。これはつまり、本書で述べられている「ドイツ帝国」はナチス・ドイツのドイツ第三帝国などとは違うということを示しています。即ち、今回の「ドイツ帝国」はヨーロッパ各地に広がるドイツ経済圏を指しているのです。
 それでは、その「ドイツ帝国」がどうやって「世界を破滅させる」というのか? 詳細なメカニズムの描写は本書に譲るとして、ここでは一例を引用します。

 ドイツが頑固に緊縮経済を押しつけ、その結果ヨーロッパが世界経済の中で見通しのつかぬ黒い穴のようになったのを見るにつけ、問わないわけにはいかない。ヨーロッパは、二〇世紀の初め以来、ドイツのリーダーシップの下で定期的に自殺する大陸なのではないか、と。(P143)

 二〇世紀の初め以来云々というのは、第一次世界大戦と第二次世界大戦を念頭に置いているのでしょう。ただし、今回の「自殺」は軍事抜きですが。

【参考文献】
エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』文藝春秋

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