町山智浩『激震! セクハラ帝国アメリカ 言霊USA2018』文藝春秋
表紙には3人の男が並んで立っていますが、向かって左からハーヴェイ・ワインスタイン、ドナルド・トランプ、ケヴィン・スペイシーです。そして裏表紙にはワンダーウーマンが英語で、
「#MeTooの名において、オシオキよ!」
と言っています。
つまり表紙の3人は、ワンダーウーマンにしばかれるような悪党だということです。
ところで、本書ではこれでもかというくらいネタが豊富です。
毎週毎週トランプのことは書きたくないんだけど、次々とバカなことをやるので書かないわけにはいかない。でも、それが多すぎて週刊では追いつかない。(P74)
でもまあ、著者がこうやってトランプネタを拾ってくれるおかげで、自分の知らなかったトランプネタに巡り会えるのはありがたい。トランプのバカっぷりは奥が深いなあ。
さて、今回はまじめな話も少々。
本書ではトランプの周辺人物の一人としてケリーアン・コンウェイを取り上げている箇所があるのですが、その中にこんな一文を発見。
オバマ大統領の当選で共和党はパニックに陥った。共和党支持者の9割は白人だが白人の減少は止まらない。移民に寛容になり、マイノリティを取り込まねば共和党は生き残れない。ところがコンウェイの調査会社は逆の戦略を掲げた。移民に厳しく、ミッシング・ホワイト(投票に参加しない白人労働者)を掘り起こせばまだ勝てる、と。(P37)
あれはケリーアン・コンウェイの戦略だったのか! その戦略に対する賛否はともかくとして、2016年の大統領選挙ではそれが奏功してトランプ当選につながったのは事実です。
ケリーアンって、ただのケバい変人じゃなかったのね。その点は見直しましたわ。
【参考文献】
町山智浩『激震! セクハラ帝国アメリカ 言霊USA2018』文藝春秋
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