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入江相政歌碑(川崎大師)

 神奈川県川崎市幸区の川崎大師にある、入江相政歌碑を解読してみました。

入江相政歌碑

【碑文】
(向かって左)
弘法大師千百五十年
    遠忌にあたり
 平間寺にてよめる
わがこゝろ
 すはるゝごとし
    いつの日も
  風信帖の
   一字一字に
  侍従長
   入江相政

(向かって右)
弘法大師千百五十年
    遠忌にあたり
 平間寺にてよめる
わがこゝろ
 すはるゝごとし
    いつの日も
  風信帖の
   一字一字に
  侍従長
   入江相政
 
 歌碑建立に寄せて
 入江相政氏は天皇陛下
の側近に侍従長として永
年つとめられ、その間、
皇室と当山の格別なる法
縁の故に、毎年大師参詣
をつづけられた。
 すぐれた稟性に恵まれ
文学をはじめ各般にわた
って造詣深く、ことに、
「風信帖」など大師の御作
をこよなく敬愛された氏
は、昭和五十九年の弘法
大師一千百五十年御遠忌
にあたり、堪能なる和歌
の道に託して、感動的な
心情を発露され、当山に
献歌なされた。
 氏の一周忌に因み、そ
の徳を讃え追慕の念を深
め、温情のまことを捧げ
てここに建碑し、永く記
念するものである。
 昭和六十一年九月二十九日忌辰建立
  大本山川崎大師平間寺貫首
  第四十四世/中興第一世 大僧正 高橋隆天

 向かって左の碑の文字は達筆すぎて私には読みにくいのですが、向かって右の碑の文字はそれよりも読みやすく書かれています。歌碑に書かれた文字が読めなくて悔しい思いをすることがあるのですが、向かって右の碑くらい読みやすくしてくれれば私でも読めるので、これはありがたい。

 さて、碑文中の天皇陛下とは昭和天皇であり、『風信帖』は空海が最澄に宛てた3通の手紙。
 それから短歌の中に「いつの日も」とあるのに注目。この語があるということは、それだけ頻繁に風信帖を読んでいたことになります。それも、ただ漫然と読むのではなく、「一字一字」しっかりと。「わがこゝろ/すはるゝごとし」…それだけ風信帖に惹きつけられていたのでしょう。

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