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武田静澄著『日本の伝説の旅(下)』社会思想研究会出版部(2)福田の埋蔵金

 奈良県の項に、福田の長者が小判を埋めたという埋蔵金伝説が載っていました。丸々引用すると長くなるので簡潔にまとめると、

(1)昔、洞川(どうがわ)の部落に福田の長者がいた。
(2)そこの村人は全員、役小角の子孫だったが、福田の長者一家は違った。
(3)そのため、福田一家は部落内で「村づきあい」をさせてもらえなかった。
(4)そのうち、飢饉が起こった。
(5)孤立していた福田一家は食べ物を分けてもらえず、一家は飢える。

 さて、ここからが埋蔵金伝説の情報です。

 あるだけの小判をツボにつめて山中にうずめ、「朝日さすみつ葉うつぎのその下に 小判千両のちの世のため」とほりこんだ石をたてて、家内のものは小判をくわえて死んだ。それがいまの福田の森であるという。(P74)

 「みつ葉うつぎ」なるものは樹木であるらしいというのはかろうじてわかるものの、私は植物に詳しくないのでそれ以上はわかりません。それに、どうせわかったところで大昔のことだ、そんな木はとっくになくなっているでしょうな。
 それにしても、小判を大量に持っていても周囲の人間は誰も食べ物を分けてくれない、というのは、部落全体がそれだけ切羽詰まっていたのか、あるいは福田の長者一家がよっぽど嫌われていたのか、あるいはその両方か。

【参考文献】
武田静澄著『日本の伝説の旅(下)』社会思想研究会出版部

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雑誌『禁談』(5)わらべ唄に隠された徳川埋蔵金の在処(P91-94)
武田静澄著『日本の伝説の旅(下)』社会思想研究会出版部(5)クリの長者の埋蔵金
松岡和子訳『アテネのタイモン シェイクスピア全集29』筑摩書房
八重野充弘『埋蔵金伝説を歩く ボクはトレジャーハンター』角川学芸出版
魯迅「白光」

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