武田静澄著『日本の伝説の旅(上)』社会思想研究会出版部(1)北海道の義経伝説
衣川で死んだとされる源義経は、実は密かに脱出して蝦夷に渡った…という伝説があります。
江戸時代、幕府の巡見使・近藤重蔵は、蝦夷地を探検して義経伝説の数々を聞くに至ります。
近藤重蔵は、この伝説をエゾ地できいて驚嘆したが、じつは、これは遠い室町の世から、陸奥<むつ>の山里や、北辺の浦々、さいはての松前までも語りつたえられた奥浄瑠璃<おくじょうるり>というものによってひろめられたのであった。さらに、寛文ごろ(一六六一~七二)の写本「清悦物語」や、正徳二年(一七一二)刊の馬場信意の「義経勲功記」などの俗書がさかんに世におこなわれ、それが、東北一円に義経伝説のタネをまいていたという事柄が、すでに忘れ去られたためである。(P24-25)
奥浄瑠璃に『清悦物語』、『義経勲功記』…。私の知らない文学が続出。私もまだまだだな。
ともあれ、本書のスタンスは、北海道の義経伝説が広まったのは義経が実際にそこに行ったからではなく、広めたものがあった、ということにあります。少なくとも義経生存脱出を信じているようには見受けられません。
武田静澄著『日本の伝説の旅(上)』社会思想研究会出版部(目次)
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