芭蕉句碑(稲毛神社)
神奈川県川崎市川崎区の稲毛神社にある、芭蕉句碑を解読してみました。
【碑文】
(表)
芭蕉
秋十とせ却って
江戸をさす故郷
平成六年十二月/芭蕉没後三百年 圓鍔勝三書[印]
(裏)
この句は芭蕉の最初の旅日記「野ざらし紀行」巻頭二番目の句である。
これが唐の詩人賈島の「桑乾ヲ渡ル」によることは分明である。
客舎并州ステニ十霜
帰心日夜咸陽ヲオモフ
端ナクモ更ニ桑乾ノ水ヲ渡リ
カヘッテ并州ヲ望メバ是故郷
桑乾は即ち多摩川に相当する。多摩川(六郷川)を渡り川崎宿に足を入
れた芭蕉が 十年暮した江戸をふり返り そこを故郷と吟じたのである。
この句の碑が芭蕉没後三百年の年に 彫刻家圓鍔勝三氏の揮毫により
旧川崎宿鎮守稲毛神社に建てられることは洵に時人所を得たことである。
なお この十年後 芭蕉は八丁畷で「麦の穂」の句を残している。芭蕉と
川崎の縁の深さが思われる。
平成六年十二月 飯塚秀吉 識
松尾芭蕉の句碑はこれまでに何度か見かけていますが、字が崩れていて解読を断念してきました。しかしこちらは幸いにも読みやすいので、私でも読むことができました。
さて、碑文中の「麦の穂」の句とは、「麦の穂をたよりにつかむ別れかな」という句で、八丁畷にその句碑が立っています。芭蕉ファンならそちらにも行ってみるといい、ということなのでしょう。
また、圓鍔勝三(えんつばかつぞう)(1905-2003)は1991年に川崎市名誉市民となっており、こちらの作品はその3年後(平成6年=1994年)、氏にとっては晩年に当たります。
尚、平成6年(1994年)12月は、秋篠宮佳子内親王が生まれています。
【松尾芭蕉関連記事】
・芭蕉~BASHO~
雑誌『禁談』(5)わらべ唄に隠された徳川埋蔵金の在処(P91-94)
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