アーサー・コナン・ドイル(アーサー・ホイティカー)「指名手配の男」
あらすじ…ワトスンが休暇を取ってシャーロック・ホームズを旅行に誘おうとする。だが、ホームズは偽造小切手事件捜査の依頼を受けて、シェフィールドへむかうところだった。ワトスンはホームズと共にシェフィールドへ行く。
まず最初に、作者名について。巻末の解説(文=各務三郎)によると、「収録作品は、発表時こそ真作とされたが、今日ではアーサー・ホイティカー贋作説がとられている」(P291)とのこと。なるほど、それならば『ホームズ贋作展覧会』の収録作品としてふさわしいと言えます。
さて、それでは本作を読んでみることに。冒頭、ワトスンの妻(『四つの署名』のメアリ・モースタン)が体調を壊したので、ワトスンは彼女をスイスへ送り出しました。これは転地療養と言われるもので、当時は一般に行われていました。ホームズも過労でダウンした時はこれをやっています(「ライゲートの大地主」など)。
ワトスンも休暇を取ってスイスへ行くことにし、ホームズも誘おうとしたのですが、事件の依頼が舞い込んでいると知るや、あっさりホームズについて行くことに。おいおい、病気の奥さん放ったらかして何やってんだ?
次に、事件について。今回の事件は銀行員のジェイベズ・ブースが偽造小切手を使って銀行から大金を引き出した後、姿をくらましたというもので、本作ではブースの行方を探ることに。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、ブースが使ったトリックは国境を超えた大掛かりなものとなっています。これはパスポートの偽造もやったのかな?
【参考文献】
各務三郎編『ホームズ贋作展覧会』河出書房新社(目次)
【関連記事】
シャーロック・ホームズ(目次)
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