上屋造営記念碑(田中稲荷)
東京都調布市の田中稲荷にある、上屋造営記念碑を解読してみました。
【碑文】
(表)
上屋造営記念碑
当社宗教法人稲荷神社は通称田中稲荷と称し古來新井一族の守
護神である、祭神及び縁起は境内の■上石記と改修記念碑に克
明であり農業神、商賣繁盛、除災関連の神として霊験顕著なる
により広く近隣の崇敬者を擁する、社殿は小祠ながら本宮造り
を以って、明治二十六年四月吉日に造営以來百数年余の風雪に
耐え來った、近日損傷の兆しを見るに至り永久保存をはかり神
徳に報いんがため、ここに氏子一同協議し上屋の造営を決定し
た、設計施工は(株)大槻工務店に発注し総工費は金壱千萬円余当
社の境外所有地参百坪余より生ずる資金、及び氏子一同よりの
浄財をもってこれに充当いたし平成十年六月二十四日地鎮祭を
催しついで仝年八月六日上棟式を執行、仝年十月二十二日無事
竣工報告祭を挙行することを得た、茲に上屋の造営を記念して
本碑を建立するものである。 総本家 一男謹撰
(裏)
奉納者芳名
金拾貮萬円也 新井一男
金拾萬円也 蔵見美行
金拾萬円也 新井潔
金八萬円也 新井亀代司
金八萬円也 新井満
金八萬円也 新井富一
金七萬円也 新井明
金七萬円也 新井功吉
金七萬円也 永野昌作
金七萬円也 新井留吉
金七萬円也 新井治年
金七萬円也 新井金明
金七萬円也 新井久一
金五萬円也 新井清孝
金五萬円也 新井七吾
金五萬円也 新井市郎
金五萬円也 新井五郎
金参萬円也 蔵見カネ
金参萬円也 永野光男
金参萬円也 新井雅彦
氏子総代 新井一男
仝 蔵見美行
仝 新井潔
建築委員 新井清孝
仝 新井満
仝 会計 新井七吾
仝 会計 新井富一
平成十年十月吉日 新井一家惣中建之
施工登戸(有)吉澤石材店
※■は、革偏に中央に小、右に斤。義未詳。
碑文中にて言及されている改修記念碑などは、解読しませんでした。その理由については愚痴めいたことを言いますが、私が採集に行ったその日は雨が降っており、しかも他にも行くところがあったので充分な時間と手間が取れず、いくつかの石碑の解読を断念したのです。田中稲荷は境内が狭い割に石碑が多く立っていたのが私にとっては誤算でした。
それからタイトルにもある上屋ですが、田中稲荷の建物の中を覗いたら、そこには小祠がありました。とすると碑文中の上屋とは、この小祠を覆う建物、ということになります。
そして碑文の「総本家 一男謹撰」とは、「氏子総代 新井一男」のことだと思われます。ちなみに、田中稲荷の近くにある糟嶺神社の裏参道入口の社号標に「都議会議員/新井一男」とありました。そこで調べてみると、新井一男は1969年、1973年、1977年の東京都議会議員選挙において北多摩3区から選出されていました。
次に奉納者芳名について。田中稲荷は新井一族の守護神ということで、新井姓が多いです。どれくらい多いかを示すために、普段なら省略するところを今回省略せずに載せておきました。
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