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町田康「桃太郎の伝説」

あらすじ…「私」は桃太郎の直系の子孫がいると知り、訪ねることに。そしてそこで27歳の青年・対田桃太郎から、家に伝わっている桃太郎の伝説を聞く。その伝説は、巷間に伝わっているものとは全く異なるものだった。

 伝承の過程で話が変容するというのは民俗学を少しでもかじっていればわかることで、だからこそ考察のしがいがあるというものです。しかしこの話に限って言えば、そうじゃない。一つ引用してみます。桃太郎が「鬼退治」に出発した後のくだりです。

 三日後、桃太郎は鬼の里に到達した。なぜそれが鬼の里とわかったかと言うと入り口に、oninosato、と書いた看板が掲げられていたからである。(P12)

 ローマ字かよ! しかも、最初の文字が大文字じゃなくて小文字です。
 それから、桃太郎が住んでいた村の人たちは、どうやらこの鬼の里の所在を知らないようです。村から三日行程の距離ならば、所在を把握していてもおかしくないんですがね。
 さて、話を桃太郎に戻すと、桃太郎は鬼の里でピザを作って…ん? ピザ!? いつの時代だ!?
 この後も話が続きますが、ネタバレ防止のために伏せておきます。桃太郎の伝説に対するこれ以上のツッコミは、ご自身でどうぞ。
 ちなみに、この話を聴き終えた「私」はこう言っています。

「僕らが知ってる話と大分、違いますね」(P13)

 確かにそれはそうなんですが、開口一番に言うことはそれかよとこれまたツッコミを入れたくなりました。
 ともあれ、ツッコミどころ満載の話で、ニヤニヤしながら読み終えるとちょっと疲れを感じましたわ。

【参考文献】
『metromin. LOCALRHYTHM[メトロミニッツ・ローカリズム] 7.20 issue AUG.2022 No.236』スターツ出版株式会社
metromin. LOCALRHYTHM[メトロミニッツ・ローカリズム] 7.20 issue AUG.2022 No.236

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