司馬遼太郎「死んでも死なぬ」
あらすじ…伊藤俊輔(後の伊藤博文)は、井上聞多(後の井上馨)と共に、高杉晋作の下でイギリス公使館を焼き打ちしたり、吉田松陰を改葬したり、宇野東桜を暗殺したりする。
伊藤俊輔の視点から井上聞多を描いています。しかもこの聞多、冒頭の初登場時にウ〇コをしています。おまけにその後のイギリス公使館焼き打ちでも、逃走時にウ〇コしたと書いてあります。
そもそも誰だってウ〇コはするものですが、だからといって普通はそんなことを書きません。これは作者(司馬遼太郎)がわざと書いているのであって、こいつはそんなところでウ〇コするような奴なんだぞ、ということを示しています。
ちなみにタイトルの「死んでも死なぬ」とは井上聞多のことで、本作でこんな文章があります。
(たいしたものだ)
と、それにも、俊輔は感服しきっている。もっとも、聞多の糞や色気に感心しているのではなく、そのなまなましい生命力を学びたい。とかげの生まれかわりのような、叩いても踏んでも死にそうにないいのちを、聞多はもっている。そのかわり、つらは下卑ている。(P325)
さすがに生命力は学べないでしょうな。
【参考文献】
司馬遼太郎『幕末』文藝春秋(目次)
【関連記事】
・幕末散歩 イギリス公使館焼打事件 高杉晋作ゆかりの地
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