萬人歯骨塚整備の辞の碑(龍口寺)
神奈川県藤沢市の龍口寺にある、萬人歯骨塚整備の辞の碑を解読してみました。尚、写真向かって左にあるのが萬人歯骨塚です。
【碑文】
(表)
萬人歯骨塚整備の辞
歯は人の生命を支えるかけがえのない存在である。健康で幸福な人生を送る人々のために、歯科医師は日夜努力を惜しまないが、病気や事故、あるいは宿命の老化により、生きながらにして大切な歯を失うことが多い。永久歯は失えば再び戻らないのである。
日蓮聖人は、存命中に数本の歯を失われた。この歯を自らの生命を支えてくれた分身として、感謝を込めて仏前に供え、毎月礼拝された。生命こそ、何にもかえ難い財宝であるとする日蓮聖人ならではの歯骨供養である。のちに直弟たちは、これを「御肉牙」と称し、立派な容器に収めて後代に伝え生前の日蓮聖人と接しうるよすがとして供養会を開き、信仰のより所とした。いま、この「御肉牙」は大本山池上本門寺に伝存している。
爾来、日蓮宗では、檀信徒の歯骨を小壺に容れて各本山寺院に収める信仰的習慣がうまれ、今日に至る。当山でも、古来歯骨塚が存在したと伝えられる。のち、明治十四年九月十三日に横浜の入歯師水野房吉氏が、自らの歯科修行(行学)の結願を記念して、現在の「萬人歯骨塚」を再建、毎年一回藤沢市歯科医師会が施主となり、いまも供養会が営まれている。
再建から百有余年を経て、近年に至り、塚石の風化も著しく、周辺の荒廃も目立つようになった。茲に、藤沢市歯科医師会の協力を得て、その保存策を協議した結果、再整備の浄業を実施することに決定をみる。藤沢市歯科医師会の善業の功徳甚多なり。その資助の法功をここに誌し、永く顕彰するものである。
併せて、歯骨供養の信仰を通して、広く衆庶に歯の大切なることを喧伝し、歯科衛生、治療の知識関心を高揚せんと欲すると爾か言う
平成十二年十月八日
霊跡本山龍口寺第十四世
慈悲院日立
(裏)
維持(ママ) 平成十二年十月八日
萬人歯骨塚整備除幕之砌
願主 社団法人藤沢市歯科医師会
霊跡本山龍口寺第十四世
慈悲院日立 代
裏面の碑文にある「維持」は誤植で、正しくは「維時」。嘘じゃないですよ、本当に「維持」って書いてありますからね。念の為に証拠画像をどうぞ。
それはさておき、私は虫歯で痛い目を見たことがあります。こちらの碑文を読むと、その時の辛い記憶がよみがえってきますわ。
尚、平成12年(2000年)10月8日は、千代田生命保険が経営破綻しています。
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・日蓮
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