シャーロック・ホームズの冒険:もう一つの顔(1986年、イギリス)
監督:パトリック・ラウ
出演:ジェレミー・ブレット、エドワード・ハードウィック、クライヴ・フランシス、エレノア・デヴィッド、デニス・ソル
原作:アーサー・コナン・ドイル「唇のねじれた男」
原題:The Return of Sherlock Holmes: The Man With The Twisted Lip
備考:ミステリー、グラナダTV版
あらすじ…ある夜、ワトスンは友人を迎えにアヘン窟へと赴く。するとそのアヘン窟にホームズがいた。ホームズによると、ネヴィル・セントクレア氏の失踪事件を調べているのだという。
まずは邦題の「もう一つの顔」について。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、これはあの人物のことを言ってるな、と感付いてしまいかねないものとなっています。原作小説のタイトル「唇のねじれた男」であれば、ネヴィル・セントクレア殺害容疑で拘留されている物乞いのブーンを指しているだけだから、上記の問題は発生しないと思うのですが、どうなんでしょうかねえ。
次に、ホームズのセリフを一つ引用します。
"Doctor Watson is a specialist at uncontrolled addiction."
「ドクター・ワトスンは自制できない(麻薬)中毒者の専門家です。」
これはセントクレア夫人に対して言ったもので、夫のネヴィル・セントクレアがアヘン窟の二階にいたということは彼がアヘン中毒である可能性を疑って訊いてみた、といった次第。
ちなみにワトスンは医者ですが、その方面の専門家かというと…ああ、そういえば身近なところにコカイン中毒の人がいましたっけ。
それから、この作品には古典文学の引用がいくつかなされており、私なんぞはシェイクスピアを少々鑑賞したことがあのものだから、特にシェイクスピア作品の引用には興味を引かれました。
そこで探してみたところ、シェイクスピアの引用は2箇所ありました。
(1)"If you prick us do we not bleed?"
「刺せば血が出るではないか?」
出典:『ヴェニスの商人』第三幕第一場
(2)"A flight of angels sing to thy rest."
「天使たちの飛行が汝の安息を歌う。」
出典:『ハムレット』第五幕第二場
(2)のセリフはホレイショ―がハムレットと死に別れる際のセリフで、弔いの言葉となっています。
ネヴィルはブーンの服などを燃やしながらこの言葉を放つことで、ブーンの「葬式」をやっているのだと見ることができます。
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