新諸国物語 紅孔雀 第一篇 那智の小天狗(1954年、日本)
監督:萩原遼
出演:中村錦之助、大友柳太朗、高千穂ひづる、岩井明、三条雅也、西条鮎子、山手弘、吉田義夫
原作:北村寿夫
備考:時代劇
あらすじ…紀州の代官・那智嘉門は紅孔雀の宝庫を開く鍵を持ち伝えていた。妖術師の信夫一角と元海賊・網の長者がそれを手に入れようと狙っていた。
物語の冒頭、「紅孔雀の宝は鍵と地図がなければ得る事が出来ない」と表示されます。ただし、第一篇で登場するのは鍵だけで、第一篇は鍵の争奪戦に終始しています。地図や財宝は次回作以降となります。
ところで、嘉門の回想の中でローマの教会が出てくるのですが、まず最初にローマの風景を出しておいて「ここはローマである」と示すところですが、これが書き割りです。おそらく予算がなかったのでしょう。そう考えると、教会内部のセットも…。
次に、主人公の小四郎について。小四郎は那智の小天狗という二つ名を持っています。
そもそも天狗は修験者のイメージが妖怪化したものです。又、那智といえば、紀州熊野の那智は修験道の道場としても有名。那智の小天狗という名前はそういう連想が働いたものと思われます。
それから、私は高尾山によく登るのですが(ここも修験道の道場)、ここには小天狗の像があります。しかもこの小天狗は大天狗と一対の存在なのです。この映画における小天狗が小四郎ならば、大天狗は…?
最後に、第一篇の最後の大立ち回りのシーンで、網の長者が弓衆を率いて小四郎に向かって矢を射かけさせるのですが、ちょっと待て。そっちにはお前の娘の久美もいるんだぞ。おそらく、彼は紅孔雀の財宝に眼がくらんで歯止めが利かなくなってしまっているのでしょう。恐ろしいことですな。
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