柳田國男「魂の行くえ」
あらすじ…日本人の魂の行方について考察する。
盆のお精霊を、山の嶺へ迎えに行くという風習が、大野郡下荒井の部落にあるという簡単な記事は、私たちにとってはかなり貴重なものである。越前では今もまだ先祖の魂が、山の高い処に留まっていて、盆にはそこから子孫の家を訪れて来るという信仰が、そちこちの山村に保存せられているのではあるまいか。(P700)
私は高尾山に幾度となく登っていますが、あの山にも誰かしらの先祖の魂が留まっている、ということになりますか。まあ、あそこは霊山だから霊魂の類がいても不思議はないし、それ以外にも天狗やら何やらがいる。
それはさておき、著者(柳田國男)はこの信仰を気に入っているらしく、最後の方でこう述べています。
できるものならば、いつまでもこの国にいたい。そうして一つの文化のもう少し美しく開展し、一つの学問のもう少し世の中に寄与するようになることを、どこかささやかな丘の上からでも、見守っていたいものだと思う。(P711)
だとすると、死んだ著者が丘の上からこの記事を読んで…いるわけないか。どうせ読むんだったら、採集された民話や民俗学の論文などを読みますわな。
【参考文献】
『柳田國男全集13』筑摩書房(目次)
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