スタインベック「白いうずら」
あらすじ…主婦のメアリ・テラーは自宅のガーデニングに心血を注いでいた。夫のハリーはそれに協力して、カタツムリなどの害虫退治を手伝っていた。そんなある日、メアリは庭の池に白いうずらがやってくるのを目撃する。
白いうずらはおそらくアルビノでしょう。
そのうずらを発見した彼女の反応は以下の通り。
(まあ、あのうずらは、わたしにそっくりだわ!)とメアリは心のなかで叫んだ。恍惚とした歓喜の戦慄がからだを走った。(あれはわたしのエッセンスだ。完全な純粋さにまで昇華したわたしのエッセンスなのだ。あれはうずらの女王さまにちがいない。彼女は、これまでわたしの身に起きたすべての楽しいことを一つのものにしてしまう)(P40)
当の白いうずらは全く関知していないことなのですが、メアリは白いうずらに自分自身を投影しています。のみならず、「うずらの女王さま」と来ましたか(オスかもしれないのに!)。
ともあれ、メアリの感受性が強いということはわかりました。私なんかはアルビノの鳥を見かけても、ここまでは思ったりしません。
【参考文献】
大久保康雄訳『スタインベック短篇集』新潮社(目次)
« スタインベック「菊」 | トップページ | 奉献明治百年記念の碑(南沢氷川神社) »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 樋口一葉「この子」(2023.05.16)
- 樋口一葉「わかれ道」(2023.05.15)
- 樋口一葉「うつせみ」(2023.05.14)
- 樋口一葉「ゆく雲」(2023.05.13)
- 樋口一葉「大つごもり」(2023.05.12)
コメント