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スタインベック「自警団員」

あらすじ…黒人を集団リンチで殺したマイクは、帰りがけに一軒のバーに立ち寄る。

 怒れる群衆が留置場にいた黒人を集団リンチで殺した直後から物語は始まっています。何とも衝撃的な幕開けです。
 さて、本作を読み進めていると、殺された黒人の名前も、罪状さえも明らかにされていないことに気付きました。マイクがその黒人について、「どの新聞もみな悪魔みたいなやつだと書いていた」(P151)と言っていることと、そもそも群衆が留置場に押し入って殺害するほどだから、よほどの重罪を犯したらしい、あるいはそう見なされていることがうかがえる程度です。
 殺された黒人を匿名にすることで、いかなる黒人にもそれが起こりうることを、そして罪状を伏せることで、どんな罪でこんな目に遭うかわからない、ということを示しているように思います。

【参考文献】
大久保康雄訳『スタインベック短篇集』新潮社(目次)

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