坂口安吾「黒田如水」
あらすじ…黒田如水が小田原攻めに参加し、陣中で徳川家康と会談した。
作品の冒頭で会談した、と書いてはいますが、その後すぐに黒田如水の半生を振り返る描写が続きます。で、10ページほど進んだところでようやく会談に話が戻るのですが、会談の内容は書かれておらず、代わりに双方が抱いた印象が述べられています。
黒田如水は徳川家康に対して、「頭から爪先まで弓矢の金言で出来ているような男だと思い、秀吉が小牧山で敗戦したのも無理がない、あのとき俺がついていても戦さは負けたかも知れぬ、之は天下の曲者だ、と、ひそかに驚嘆の心がわいた。」(P235)
又、徳川家康は黒田如水に対して、「なるほど、ふとりすぎた蕗みたい、此奴は食えない化け者だ、と家康も亦律儀なカサ頭ビッコ(原文のママ)の怪物を眺めて肚裡に呟いた。然し、与し易いところがある、と判断した。」(P235)
この時点で両者が初めて会ったとは考えにくいし、お互いの情報は事前にある程度掴んでいたはず。もっとも、サシで話し合ってじっくり観察(と腹の探り合い)をしたのが今回で初めて、ということなのでしょう。私なら胃が痛くなる会談です。
さて、話を少し戻すと、会談の内容が書かれていないと以前に述べました。「秀吉の命をうけて如水は家康を訪問した」(P235)とあるだけです。まあ、小田原攻めの真っ最中だから、戦争に関する打ち合わせは山ほどあるだろうし、陣中見舞いと称して様子を見てこい、ということだったのかもしれません。
【参考文献】
司馬遼太郎・松本清張ほか『軍師の死にざま』実業之日本社
【黒田如水関連記事】
池波正太郎「智謀の人 黒田如水」
海音寺潮五郎「城井谷崩れ」
菊池寛「黒田如水」
『稀代の軍師 黒田如水と一族』新人物往来社
・信長の野望 革新PK 九州席巻(PC版)
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