バットマン:死ぬのは簡単(2021年、アメリカ)
この自主製作映画は、YouTubeで観ました。
https://youtu.be/K0x_YjkgFjc
監督:アーロン・シェンキ
出演:ケヴィン・ポーター、アーロン・シェンキ
原題:BATMAN: DYING IS EASY
備考:ヒーローアクション
あらすじ…ゴッサムシティでは3人の警官が行方不明になっていた。そんなある時、バットマンは、ジョーカーが瀕死の状態で自分に会いたがっていると知らされる。そこでバットマンはジョーカーが収容されているアーカム精神病院へと赴く。
この作品は会話劇の比重が大きいため、セリフが重要になってきます。というわけで、約25分と長尺ですが頑張って訳してみました。
【拙訳】
リポーター「行方不明になった3人の警官の手がかりは依然としてありません。本部長のコメントです」
ゴードン「手を尽くしたのだが、手掛かりはつかめていない」
リポーター「地方検事は複数の調査を開始しましたが、結果は出ませんでした。このゴッサム市民は毎夜、薄暗い通りに連れて行かれるのです」
マッドハッター「招待された!」
バットマン「貴様は罪もない人を攫って楽しんでいる。もう終わりだ」
マッドハッター「チョコレートクリームケーキの後、僕のアリスの少女たちは楽しんでいるようだぞ」
バットマン「二度とない」
少女「おいて行かないで! お願い!」
2ヶ月後
バロック「後にしてくれ」
バットマン「バロック、何が望みだ?」
バロック「おいでなすった。そこにぶら下がっているのはどんな気持ちだ?」
バットマン「お前の無駄口に付き合ってる暇はないぞ、バロック。話せ」
バロック「深夜に俺がここに来るのを楽しんでいると思っているんだろうが、ゴードンが入院中という理由だけで俺は来たんだ。俺は実際の事件を扱っている。俺の部下3人がいなくなった件をな。いいか、あれやこれやで俺はあいつらを見つけ出さなきゃならない。マジで時間がないんだ。スーパーヒーローの振りをして街を飛び回る奴の面倒なんか見てられないんだ。ほら、ゴードンが尊敬しているからといって、俺もそうしなきゃならないってわけじゃない」
バットマン「お互い様だ」
バロック「いいか、あんたにとって良い知らせがある。白塗りのピエロが…瀕死なんだ」
バットマン「他には?」
バロック「えーと、あー、彼は君に会うことを求めている。もちろん君たちは人生の殆どを一緒に過ごしてきたんだろ? あんたにとっては小さなお祝いになって興奮するだろうと思ってね。君たち狂気の住民の一人としてその資格があるんじゃないかな」
バットマン「ジョーカーの死を祝うことなどない」
バロック「俺が言ってるのは、ずっと前から誰かが引き金を引くべきだってことだ」
バットマン「お前も銃を持っていて殺しのライセンスがあるだろ」
バロック「ああ、俺にやらせようとするな」
バットマン「やれよ。そしてこの狂気の井戸がどれだけ深いのか見るんだ」
バロック「失礼。おいこら、ちょっと待てと言ったはずだぞ。とにかく…おいバット!」
バットマン「ヒューゴ、そっちに向かう。ジョーカーを独房からレクリエーションルームに移しておけ」
ヒューゴ・ストレンジ「わかった。バロック警部補と話したんだ。個人的に君に連絡を取ろうとしたんだが、直接連絡する方法がなかったのでね」
バットマン「それでいい」
ヒューゴ・ストレンジ「皆さんこんばんは。医師のヒューゴ・ストレンジです。このアナウンスは今夜の予定・コードB27に関するものです。強制的に封鎖された後、夕食と全ての夜の活動は、さらなる通知が来るまで延期されるでしょう。特に注意して下さい。以上!」
リドラー「必要ない。あなたのものだが、みんなも使う」
ハーレイ・クイン「寂しかった? 私のラブレターを全部受け取ってくれたらいいんだけど」
ポイズン・アイビー「ねえハーレイ、彼行っちゃったわよ。あなたを尊敬しないアーカムのあの男のところへね」
ジョーカー「力抜けよ。指を見るんだ。変態。好きだ。俺をここから降ろすだけ」
看守「どうぞ」
ジョーカー「この瞬間、ゴッサムの橋の上で、あるいは古い貯水池で、あるいはジェリーのサーカスの廃墟で行われることになっていた。何百万人に向けてテレビ放映だ。こんな風に終わるはずじゃなかった」
バットマン「何が望みだ?」
ジョーカー「俺は瀕死だ。腫瘍でな」
バットマン「酸の風呂は面白くなかった」
ジョーカー「俺たちが初めて会った夜…。間一髪だった。皮膚癌さ。俺からユーモアは失われなかった。死ぬのは簡単だと思うよ」
バットマン「ああ、コメディは大変だ。なぜ私を呼んだ?」
ジョーカー「いい質問だ。お前が始めたことを終わらせたいんだ。バッツィー、お前に俺を殺してほしいのさ。癌じゃなくてさ。俺たちのレガシーは、弱音で終わらせるには壮大すぎる。伝説でなきゃならない。断腸の思いでなきゃならない。何も言うことがないのか。これだけは言っておくぞ、俺は瀕死だ。これは俺たちが繰り広げてきた最後の対決だ。これは俺たちの最後の独白だ」
バットマン「レガシーなんて気にしない」
ジョーカー「臆病者! お前は殺そうとしない。怖いからだ。高尚な倫理観やお前の一つのルールからではない。俺がいなければ自分を正当化できないからだ」
バットマン「そうだ。怖い。自分が怖い。一度殺せばその味が好きになる。それからアーカム精神病院の収容者一人一人を殺して回るだろう。だがお前には私が必要だ。(ドクター・)フリーズにはノラがいる。ポイズン・アイビーには自分の環境要因がある。リドラーにはパズルがある。だが、お前には何もない。私以外にな。お前は自分にとって最悪の恐怖になった。従ってここの皆によって上演されているんだ」
ジョーカー「俺はこの精神病院の王様だ! 俺の王冠を見ろよ。黄昏の渋いきらめきに輝くんだ。ほらバッツィー、お前が知らないことが一つあるぞ。お前は毎夜毎夜、犯罪と戦って人生を過ごしてきた。死んだ相棒、死んだ相棒。何のために? お前は完全に惨めだ。一つのことを恐れている。それがおそらく喜びをもたらす可能性がある。ほら、俺は完全かつ本当に幸せだ。俺は毎朝、大きな笑顔で起きる。俺は絶対に俺の人生を愛する。だがお前は、お前は絶対に自分(の人生)を憎んでいる。時おり不思議に思うんだ、埃っぽい倉庫の床の上であのガキが血を流して倒れていた時、お前はどこにいたのか、ってね。どこにいたんだ? あいつを俺に引き合わせてくれたのは、お前の物語の執筆において見事な天才の一撃だったよ。俺はあいつに債権を与えないとな。あいつはそれを売る方法を知っていた。あいつの固い筋肉の体は俺のリードバールの重みで壊れている。あいつの最後の言葉を知っているか? 最後の一息で何と言っていたか? お前の名前を何度も何度も言っていた。あのガキがお前の名前を叫んでいたことを最後にもう一度聞かせてやりたくてたまらない。俺を殴るか? おっと、まだあるぞ。俺たちの好きな赤毛を忘れることができるか? 写真映えするよな。若いよな。俺がこの夜の出来事について最もよく覚えていることは何だかわかるか? 彼女の髪だよ。ラベンダーの香りがした」
バットマン「もう充分だ」
ジョーカー「終わりじゃないぜ。みんなが求めているのは、俺を殺すことだ」
バットマン「私は処刑人ではない」
ジョーカー「間接的にはそうじゃねえか、バッツィー。俺はお前の死者の魂まで測ることはできない。そいつはこの精神病院の全員の蓄積だ。ゴッサムの墓石の半分はお前のレガシーだよ。何人生きてるのかな? もしお前が何年も前に死んでいたら、ロビンは自分の小さなグループをもっていただろうね。それからバーバラ(・ゴードン)、彼女の夢は脊椎のように喋る!」
バットマン「お前は自分がここの王だと言ったな。だが私が聞いているのは同じ古い歌とダンスだけだ。お前はもう関係ない。お前が最後にニュースに出たのはいつだ? (キラー・)クロック、(ポイズン・)アイビー、他の連中でさえヘッドラインがある。お前はどうなんだ!?」
ジョーカー「俺に言わせてくれよ、バッツィー。行方不明になった3人の警官を知っているか? 俺が殺したんだ」
バットマン「何?」
ジョーカー「俺がやったんだよ。オニールのおもちゃの国に放置してある。ゴッサムのずたずたになったものとして密かに眺めるのがどれだけ楽しいか教えてやれないな」
バットマン「オラクル、応答せよ」
オラクル「了解。オニールのおもちゃの国。GCPD(ゴッサム市警)に情報を送ります」
バットマン「予測できていた。自分が注目されないように私が仕向けたら、お前が何をするかわかっていた」
ジョーカー「仕向けた? 俺は瀕死なんだぞ」
バットマン「お前が?」
ジョーカー「何を言ってるんだ?」
バットマン「お前の血液サンプルについての毒物の報告書を偽造した」
ジョーカー「俺を見ろよ。俺は病気なんだぞ」
バットマン「数週間の間、お前の飲み水に毒物を投与していた。自分が瀕死だと思い込むとわかっていた。それから私の注意を引こうとするだろう、とも。私はジャーヴィスの部下の一人が持っていた警棒を発見した。行方不明の警官の一人の物だと登録されていた。3人分の指紋を見つけた。そのうちの一つがお前だ」
ジョーカー「俺に嘘をついたんだな。俺のこと気にしないって言った時に嘘をついたんだな。だが気にしてた。こいつの計画と準備に数週間を使った。別の刺激的なパフォーマンスをすることだってできただろ。バッツィー、こう言わなきゃな。ブラボー、ブラボー」
バットマン「死ぬのは簡単ではないと思う」
ジョーカー「それジョークか?」
警官「これで終わりです、警部補」
バロック「よろしい。よくやった。明日またダウンタウンで会おう。またな」
バロック「それで、俺を含めてみんなを芝居に付き合わせたのか」
バットマン「リアルでなければならなかった」
バロック「こんなこと馬鹿馬鹿しすぎると思うぞ」
バットマン「それらはお前の言葉であって私のものではない」
バロック「あいつらを救出できていたらと思う」
バットマン「彼らは既に死んでいた」
バロック「失礼、何だって? 何て言った?」
バットマン「彼らは既に死んでいたと言った」
バロック「死んでるってハナから知ってたのか?」
バットマン「そうだ」
バロック「あいつらのために、どうしてそこまでやってくれたんだ?」
バットマン「彼らのためではない。彼らの家族のためだ。私は希望を奪わなければならなかった。そうして家族は癒えることができる。最悪のものがパンドラの箱から出てきた。それは悲しみや疫病ではない。希望だ。希望は賭けだ。希望は確実さを欠く。そしてこの街はどれほど希望がないか充分に知りすぎている。そして痛みは狂気に駆り立てうる。今、希望がないことでおそらく、家族は癒しの過程を始めて動き出すことができる」
バロック「ゴードンがあんたをなぜ尊敬しているのかわかったよ。取引をするにはあんたは狂いすぎているとよく思ったものだ。だが今わかった。そのハロウィンのコスチュームは御免蒙るが、実際にはそんなに悪くはない。…クソ野郎」
バットマン「バロックが私を狂気の住民と呼んだのは正しい。誰が、なぜ私の両親を殺したのかわからないので、終わりのない開いた傷、私が毎夜凝視する奈落が私に残された。私をこの怪物に変えたのは閉塞の欠如だ。私が恐怖し抱き寄せる怪物、私がバットマンと呼ぶ怪物に」
バットマン「セリーナ」
キャットウーマン「ニャー」
訳出に際しては、ところどころ意訳させていただきました。それでもわかりにくいところがありますが(例:ジョーカーのジョーク)、そこは御容赦のほどを。
さて、タイトルの「死ぬのは簡単」について少々。これは作中でのジョーカーのセリフです。今までさんざん人を殺しまくってきたジョーカーにとっては、簡単に人が死ぬ様を見てきたはず。それにジョーカー本人も自分が死ぬことを恐れていないようです。
もっとも、ジョーカーくらいの「人気者」となると、そう簡単には死なないようになっています。たとえ死んでも、後で「実は生きていた」となって再登場することもある。
それにしても、この作品におけるバットマンとジョーカーのイチャイチャぶりは凄いな。
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