松岡和子訳『ヘンリー八世 シェイクスピア全集31』筑摩書房
あらすじ…テューダー朝を継いで二十年余り。亡き兄の妻だったキャサリン妃との間に世継ぎがいないことに苦悩するヘンリー八世は、枢機卿主催の晩餐会で若く美しい侍女アンと出会う。一方、宮廷では奸計が渦巻いていた。政敵を追い落として昇りつめた者が、次に追い落とされる――。(裏表紙の紹介文より引用)
本作のタイトルは「ヘンリー八世」ですが、それにしてはヘンリー八世が薄味に描かれています。彼は生涯に6度の結婚をしたほどだから、相当アクが強いはず。それなのにハムレットのように一人で苦悶するシーンもなければ、マクベスのように狂気を振り撒くこともない。一応、アン・ブーリンとのロマンスは出てくるけれども、それもあっさりしたもので、アントニーとクレオパトラほどの駆け引きはないし、ロミオとジュリエットほどの純愛でもない。
その代わりに描かれるのは、これでもかというばかりの宮廷陰謀劇です。登場人物の名前を憶えるのが面倒になるくらい、政治家たちが現われては消えて行きます。
宮廷陰謀劇があってもいいけど、さすがにそれが続くと食傷気味になりますわ。
【参考文献】
松岡和子訳『ヘンリー八世 シェイクスピア全集31』筑摩書房
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