太宰治「新ハムレット」
あらすじ…デンマーク国エルシノア城。王子ハムレットは悶々とした日々を送っていた。父王が死んでその弟が即位し母と結婚したのだ。
原作は言うまでもなくシェイクスピアの『ハムレット』。
シェイクスピア版との違いは色々とありますが、一つは登場人物が削られていることが挙げられます。先代の王の幽霊は登場せず、代わりに噂話として言及されるにとどまっています。又、ローゼンクランツとギルデンスターンも登場せず、フォーティンブラスや旅芸人一座さえも登場しない。随分と小じんまりした感じを与えます。
舞台が一国の王城であることを考えると、もっと人がいてもいいし、もっと人が出入りしてもいい。
それから、ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、あの結末は決着になっておらず、釈然としないものが残ります。これはどうやら、作者(太宰治)が力尽きたようです。さすがにシェイクスピアの傑作の壁は高いと言うべきか。
【参考文献】
太宰治『太宰治全集4』筑摩書房
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