太宰治「令嬢アユ」
あらすじ…友人の佐野君が伊豆へアユ釣り旅行をして、そこで出逢った女性に恋をする。
これは恋愛小説に分類してもいいように思います。というのは、佐野君はその令嬢について、「いいひとだ、あの令嬢は、いいひとだ、結婚したい」(P185)と言っており、その方面に疎い私でも佐野君が恋をしていることくらいさすがにわかる。
そしてこれが恋愛小説だとすると、太宰にしては珍しいといえば珍しい。
さて、そんな恋愛譚ですが、最後に作者(太宰治)が令嬢アユの正体を推理して見せて、水を差して終わっています。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、この結末は渡辺温「男爵令嬢ストリートガール」を想起しました。
【参考文献】
太宰治『太宰治全集4』筑摩書房
« ノブ‐日本人移民の様式化された肖像(2018年、オランダ) | トップページ | パンテオン フル・ムービー(2020年、カナダ) »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 樋口一葉「この子」(2023.05.16)
- 樋口一葉「わかれ道」(2023.05.15)
- 樋口一葉「うつせみ」(2023.05.14)
- 樋口一葉「ゆく雲」(2023.05.13)
- 樋口一葉「大つごもり」(2023.05.12)
« ノブ‐日本人移民の様式化された肖像(2018年、オランダ) | トップページ | パンテオン フル・ムービー(2020年、カナダ) »
コメント