イエーツ「カスリイン・ニ・フウリハン」
あらすじ…1798年、ギレイン家は長男マイケルの婚礼を目前に控えて幸せに包まれていた。とそこへ、貧しい身なりの老女がやってくる。
まずは歴史的事実について少々。
この物語の舞台となった1798年当時のアイルランドは、イングランドの支配下にありました。そしてその1798年にアイルランド蜂起が勃発、イングランドの仇敵であるフランスがこれを支援しました(作品の最後の方でパトリックがフランス人云々と言っているのはこのことを指す)。
ただし、これも歴史的事実なので付け加えておくと、この蜂起は失敗に終わりました。
さて、それでは作品についても述べたいと思います。
ここに登場する老女の正体はカスリイン・ニ・フウリハン(キャスリーン・二・フーリハン)。アイルランドの擬人化で、彼女が年老いた貧しい身なりをしているのはこの時のアイルランドが落魄していたことを表わしています。そう考えて彼女のセリフを考えてみると…。ここでは書き切れませんが、色々と深いものを感じます。
そういえば私が子供の頃、アイルランドではIRA(アイルランド共和軍)がテロをやっていましたっけ。この時もキャスリーン・二・フーリハンが暗躍していたんじゃないかと想像を巡らせてしまいます。
【参考文献】
イエーツ『鷹の井戸』角川書店
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