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国枝昌樹『イスラム国の正体』朝日新聞社

 著者は元外交官。

 さて、今回本書を読んで気になったのが、イスラム国(IS、ISIS、ISIL、ダーイシュ)の指導者でカリフを自称しているアブ・バクル・バグダディについて書いたくだりです。

 わたしは、彼の演説から手練れた説教師という印象を受けました。モスクでバグダディがしゃべったのは、コーランの時代の言葉です。コーランは7世紀の言葉で書かれたものなので、現代、21世紀のアラビア語(口語)とはかなり違います。日本でいえば、漢文に相当する言葉で、フスハー(正則アラビア語)といいます。
 イスラムの知識人は、いわば漢文で文章を書き、ふだん話すときは現代口語というふうに使い分けています。しかし、コーランを論じる人たちは、この正則アラビア語、つまり漢文調で演説をするわけです。かならずしもやさしくありません。バグダディの演説を聞きましたが、よどみのない正則アラビア語だったので、これは案外教養がある人物だなと感じられました。(P35)

 もし仮にバグダディを捕えてサダム・フセインのように裁判にかけたとしたら、バグダディはその正則アラビア語で反論・弁明するんでしょうな。ひょっとしたら、原告を論破してしまう、なんてこともあるかもしれません。
 あるいは、アブ・ムサブ・アルザルカウィ(ザルカウィ)のように空爆で死亡するかもしれないし、ウサマ・ビン・ラディンのようにその場で殺されるかもしれません。バグダディを正当な政府の代表と見なすのではなく、テロリスト集団の親玉だとみなすのならば、彼はザルカウィやウサマのような末路を辿る可能性が高い。
 尚、世界各国はイスラム国を国としては承認しておらず、従ってイスラム国は所詮は自称国家。又、ムスリムの大多数もバグダディをカリフとは認めていないから、バグダディは自称カリフに過ぎない。おそらく今後もそれは変わらないでしょう。

【参考文献】
国枝昌樹『イスラム国の正体』朝日新聞社

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