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トランプ大統領はファシストか?(2018年、アメリカ)

 この動画は、YouTubeで観ました。
https://youtu.be/-QK1IVi4REI

出演:ジェイソン・スタンリー、ドナルド・トランプ
原題:Is President Trump Fascist? | NYT Opinion
製作:ニューヨークタイムズ

あらすじ…トランプ大統領はファシストであるか否かを検証してみる。

 イェール大学の哲学教授ジェイソン・スタンリーが解説。

 そもそもファシズムとは何でしょうか? とりあえず手許の広辞苑を引いてみることに。

ファシズム【fascismo・fascism】(中略)(2)広義では、イタリア・ファシズムと共通の本質をもつ傾向・運動・支配体制。第一次大戦後、多くの資本主義国に出現(イタリア・ドイツ・日本・スペイン・南米諸国・東欧諸国など)。全体主義的或いは権威主義的で、議会政治の否認、一党独裁、市民的・政治的自由の極度の抑圧、対外的には侵略政策をとることを特色とし、合理的な思想体系を持たず、もっぱら感情に訴えて国粋的思想を宣伝する。

 ファシズムの定義を云々しだすとキリがないので、とりあえずここではこの程度で間に合わせることにします。ファシズムをもっと詳しくやりたいという人は、スタンリー教授の門戸を叩けばいいんじゃないですかね(適当)。

 さて、それでは拙訳をどうぞ。

【拙訳】
スタンリー「ファシスト―人々は右翼左翼を問わず嫌いな政治家を語る際にこの言葉を好んで使います。さて、トランプをファシストと呼ぶことは過言であるように見えるかもしれません。つまり、彼は大量殺戮を要求していませんし、正当な手続きをせずに自国民を投獄しているわけでもありません。ですが、お望みとあらば、彼の政治的戦術、彼のレトリックに関する彼の言葉を振り返ってみたいと思います」
スタンリー「私はここ10年間をファシストのプロパガンダの研究に身を捧げました。もしあなたが歴史や哲学を参考にするなら、トランプの言葉と、歴史上もっとも非難されているファシストの言葉との類似を簡単に見出すことができます。ビビリましたよ。あなたもビビるんじゃないでしょうか」
ファシズムはどのように働くか
スタンリー「私たちはかつてファシズムにかぶれました」
マディソン・スクエア・ガーデン(1939年)
ナレーション「彼らはヒトラーの制服を着ていますが、星条旗を掲げています」
スタンリー「このイメージが21世紀のアメリカではどのように鳴り響いているのでしょうか?」
トランプ支持者「壁を建設しろ!」
スタンリー「ファシズムの形式は驚くほど単純です。そして何度も繰り返すのです。もちろんイタリアとドイツを始め、ファシストの運動は今日、インド、ミャンマー、ハンガリー、トルコ、そしてここアメリカ合衆国で盛り上がっています。彼らがどこから来たのかは問題ではありません。世界中のファシスト政治家は似たり寄ったりです」
スタンリー「政治家が神話的な過去の信仰を喚起する時、最初にファシズムが根を張ります」
(1)神話的な過去
スタンリー「(神話的な)過去はリベラルやフェミニスト、移民によって破壊されたのだと思われます。ムッソリーニ
(※1)にとっては、それ(神話的な過去)はローマ帝国だったのです。トルコのエルドアン(大統領)にとっては、それはオスマン帝国なのです。ハンガリーのヴィクトル・オルバーン(首相)は憲法に『ハンガリーを再び偉大にすること』を目標とするよう書き換えました。誰かさんにとっては凄いように聞こえる詩句です」
トランプ「今までにこれを聞いたことあるかい? 『アメリカを再び偉大に』」
スタンリー「ファシストは人種的に純粋で伝統的・愛国的な過去への郷愁の圧倒的な感覚を創造します。ムッソリーニからヒトラー、エルドアンまで、ファシストのリーダーは自分自身を父親的な人物、強者に位置付けます」
?「あなたがこの国を動かしていることに感謝したいと思います」
?「あなたが私に与えてくれた光栄には、感謝しきれません」
?「私の人生の中で最も偉大な光栄だ」
スタンリー「彼―そう、常に男性です―彼は権力を持っている限り、何でも可能であり、彼なしではシステム全体が崩壊するのです」
トランプ「言っておくが、もし私が弾劾を受けたら、市場は暴落すると思うよ。みんなすごい貧乏になると思うよ」
スタンリー「一度神話的な過去を得たら、次の材料が必要です」
(2)種子分け
スタンリー「ドイツ人とユダヤ人、インド人とムスリム、市民と外国人、白人と黒人とに分割することを、ファシストは両者を対立させることによって成功するのです。ナチスは、ユダヤ人は精神的もしくは物理的な労働をしないゆえに何の価値もないと言いました。ミャンマーではロヒンギャが強姦魔・犯罪者だと誹謗されています。その語句は多くのメキシコ人によく知られています」
トランプ「彼ら(メキシコ人)は麻薬を持ち込んでいる。彼らは犯罪を持ち込んでいる。彼らは強姦魔だ。何人かはいい人だと思う」
スタンリー「分断すれば、支配が容易になります」
(3)真実を攻撃する
スタンリー「一度ファシズムが根付くと、プロパガンダ、特に、ある種の反知性主義が広がります」
トランプ「奴らは何でも悪化させるんだ。なぜなら奴らは、偽の、偽の、嫌らしいニュースだからな」
スタンリー「ファシストは真実を攻撃します。なぜなら真実は自由な民主主義の中核だからです」
?「それは誰かさんにとっての真実の解釈であって、真実じゃない」
?「これは真実です。そうじゃなくて…」
?「いいや、これは真実じゃない! 真実は真実じゃない!」
スタンリー「この環境は陰謀理論のためのペトリ皿(シャーレ)を作成します。最近、トランプの選挙キャンペーンでこのシンボルを見たことがありますか? 有名なネット上の陰謀論のサインで、それは『ディープ・ステート
(※2)』がトランプを倒すために動いているというものです。それは国際的なユダヤ人の陰謀に反対する、ヴィクトル・オルバーンの広範なキャンペーンとそれほど離れてはいません」
オルバーン「大型の肉食動物が水の中を泳いでいる。これは大量のカネと国際的な重砲を持ったジョージ・ソロス
(※3)の国境を超えた帝国だ」
スタンリー「真実が攻撃されて嘘が暴れ回ると、もはや何が真実かに誰も同意できなくなります。それが起こった時、ファシストはそれを歓迎します。ひょっとしたら私がこれらの類似点を作り出すことによってあなたを怖がらせようとしていると思っていらっしゃるかもしれません。それでは私のことをご存知ですか? 私の両親はホロコーストを生き延びました。そして私の祖母は伝記で、ドイツのユダヤ人がナチスの脅威を手遅れになるまでいかに見ていなかったかを書きました。『1937年、私たちはまだ出国することができた。』彼女は書きました。『私たちはまだ自分の家に住むことができた。私たちはまだ自分たちの寺院で礼拝できた。私たちはゲットーにいた。私たちの多数がまだ生きていた。』私はあなたたちに恐れてほしいのです。なぜなら、もしあなたがアメリカでファシズムが侵入してくるのを心配していないのならば、やがて、それが普通のことだと感じるようになるでしょう。そしてそれが起こった時、我々はみんな困ったことになるのです」

※1.第二次世界大戦時のイタリアの独裁者。
※2.国家内国家、闇の国家とも訳される。国家の内部の機関・組織が国家の政治的指導に従わない状態を指す。
※3.ハンガリー系ユダヤ人の投資家。

 そもそもトランプ自身はファシズムをどれくらい理解しているのでしょうかね。彼のことだから、少なくとも大学で教授が学生にA+を出すくらいのレベルでわかっているとは思えませんな。
 まあ、かく言う私もこの記事で広辞苑をわざわざ引いてそれで間に合わせるくらいだから、それほど誉められたもんじゃないですけどね。

 最後に、「トランプはファシストか?」という命題に対する私なりの見解を少々述べさせていただきます。
 広辞苑が定義する「合理的な思想体系を持たず、もっぱら感情に訴えて国粋的思想を宣伝する」という部分はトランプに当てはまると言えます。しかし、それ以外の例えば「対外的には侵略政策をとる」などは当てはまらない。
 もちろんこれらは「現時点では」との但し書きが付きます。ひょっとしたら今後、トランプがファシストと呼ばれるに充分ふさわしい行動を取らないとも限らないのですが、トランプのマイペースぶり(夜中にツイッター、週末はゴルフ!)を見ればこのまま突っ走るものと思われます。
 ですので、トランプがファシストかというと、それは部分的には言える、という程度にとどまります。

ドナルド・トランプ

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ドナルド・トランプ(目次)

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