クリーピーパスタ:ウィリアム(2015年、アメリカ)
この自主制作映画は、YouTubeで観ました。
https://youtu.be/gfEPnXVax1c
監督:グラント・ベリオス
出演:ドーソン・ガードナー、ミカ・ガードナー、カムデン・ガードナー、マイケル・ガードナー、ジェニファー・モーテン
原題:William
備考:ホラー
あらすじ…夜、眠れない息子のために父親が怖い話を語って聞かせる。
元ネタはクリーピーパスタの「息子を怖がらせる話(A Story to Scare My Son)」。邦訳がないかちょっと調べてみましたが、見当たらなかったので映像作品を和訳してみました。
【拙訳】
父「おい、もう寝る時間だぞ。何度言ったらわかるんだ」
子「パパ、退屈だから怖い話して」
父「怖い話が好きなのか」
子「前に話したのはもう怖くなくなった」
父「わかった。怖い話をしてやろう」
昔々、コビーという名の少年がいた。コビーはネトゲが大好きだった。
時間が経つうちにコビーは同じゲームをする友人に出会った。彼はコビーと同い年で、ヘルパー23と名乗った。彼らは同じゲームやショーが好きで、同じジョークで笑うことさえあった。
仲良くなって数か月後、コビーはゲーム内でヘルパー23に6つのダイヤを送った。それはとても気前の良い贈り物だった。コビーの誕生日がもうすぐで、ヘルパー23には自分にとてもイカすプレゼントを送ってほしかったのだ。だが、それには住所を教える必要があった。
コビーは自宅の住所を教えることにたくさんの問題があることをわかっていなかった。変質者や大人に教えることになるかもしれないからだ。ヘルパー23は誰にも言わないと誓ってくれた。自分の両親にさえも。
コビーが住所を送信した後、罪悪感を感じずにはいられなかった。両親はいつも住所を誰にも、特に変質者には教えるなと言っていたからだ。そしてコビーは自分がやったことを悟った。彼の罪悪感は段々大きくなり、次の夜にパジャマを着る頃には今までに感じたことのないほどになっていた。彼は両親にそのことを打ち明けようと決心した。それは罪悪感を軽減する価値があった。
彼は兄弟と共にベッドの側で祈りをささげた。彼は家の雑音を聞いた。洗濯機が回る音、窓の外の枝の音、ベビーベッドにいる赤ん坊の兄弟の泣き声…。そして別の音、何だかよくわからなかった。最後に、彼の父親の足音が玄関に聞こえた。
「ねえ、パパ」
彼はびくびくしながら言った。
「言っておくことがあるんだ」
彼の父は戸口の奇妙な位置から頭をのぞかせた。真っ暗で、口が動いているように見えなかったし、目は虚ろだった。
「やあ、息子よ」
声は全く違っていた。
「パパ大丈夫?」
少年は訊ねた。父は何も言わなかったが、見つめていた。コビーは身を守るために布団をかぶりベッドに深く潜りこんだ。
「ママ!」
コビーは叫んだ。
「ええ」
母は不自然な裏声で答えた。
「あなたヘルパー23に自宅の住所を教えたでしょ。するべきじゃなかった。彼は本当は子供じゃなかった。彼は子供のふりをしていただけ。彼が何をやったか知りたい? 彼は家にやってきて私たちを殺したの」
数時間後に悲鳴が止まった。コビーの兄弟は死んだ。彼の父と母は死んだ。そしてコビーも死んだ。
殺人に満足した殺人鬼がコビーの部屋から出ようとした時、赤ん坊の泣き声を聞いた。ありがたい、俺はまだ赤ん坊を殺したことがなかったのだ。赤ん坊に向かってゆっくり近づく。ベッドから赤ん坊を取り出して抱えたヘルパー23は、赤ん坊をどうやって殺そうかと考えた。
赤ん坊は突然泣きやんだ。ヘルパー23は今まで赤ん坊を抱いたことはなかった。そして安堵の感情を得た。彼は血まみれの手を毛布で拭き取り、赤ん坊に頬ずりした。
「やあ、おチビちゃん」
ヘルパー23は強力な殺人衝動を、暖かく愛情のあるものに変えた。彼は赤ん坊と共に部屋を出て、自宅に連れ帰り、世話をして愛した。彼は赤ん坊をウィリアムと名付けた。彼はその子を育て、注意深く見守っている。
子「パパ、僕の名前はウィリアムだよ」
父「わかってる」
ネット上の「友人」に自宅住所を含む個人情報を明かしてはいけない、という戒めが込められています。皆さんも御注意を。
又、この話に出てきた殺人鬼は実は…というのもこの話のミソ。この話を聞いた息子はさぞやビビったことでしょうな。
まあ、好意的に解釈するならば、父親が息子を怖がらせるために、わざわざ赤ん坊の話を持ち出して赤ん坊に息子と同じ名前を付けたのだと見ることもできます。
« 『Family 109 2018年5月号 No.511』東急ストア | トップページ | 『Metro min. 4.20 2018 MAY No.186』スターツ出版株式会社 »
「自主制作映画」カテゴリの記事
- ドナルド・トランプの独白―再考(2024年、ドイツ)(2024.10.04)
- 【短編アニメ】『雨の日の誘惑』(2023年、日本)(2024.05.27)
- 【短編映画】百円のビデオ(2021年、日本)(2024.03.04)
- マネキン(2022年、アメリカ)(2024.02.10)
- 恐怖のバービー2(2024年、アメリカ)(2024.02.09)
« 『Family 109 2018年5月号 No.511』東急ストア | トップページ | 『Metro min. 4.20 2018 MAY No.186』スターツ出版株式会社 »
コメント