ドナルド・トランプは謝罪することなど何もない(2015年、アメリカ)
この動画は、YouTubeで観ました。
https://youtu.be/Ns7ocpRhDD8
出演:ドナルド・トランプ、スティーブン・コルベア
原題:Donald Trump Has Nothing To Apologize For
備考:コメディ
あらすじ…大統領選挙中、ドナルド・トランプがコルベアの番組に出演する。
まさかトランプがコルベアの番組に出演していたとは知りませんでした。こんな「直接対決」は見逃せない!
尚、動画の公開時期(2015年9月23日)は共和党の予備選が始まってまだ数ヶ月といったところ。つまりトランプ出演は選挙キャンペーンの一環ということですな。
そんなわけで頑張って訳してみました。一部、同時に言い合っていたり聞き取れない箇所がありましたが、そこは適当に訳しました。
【拙訳】
コルベア「私もあなたに謝罪したいと思います。というのは、あなたについて長年に渡って何度か、礼儀正しい会社ではおそらく許されないことを言ってきたからです(※1)」
トランプ「殆どね」
コルベア「殆ど許されない」
トランプ「それからいいことも幾つか」
コルベア「憶えてない、何を言ったか憶えていません。ともかく、私の謝罪を受け入れていただければと。私はただその機会を与えたい。あなた自身、どなたか謝罪したい人がいますか?」
トランプ「ああ、いいや」
コルベア「ない?」
トランプ「多分聴衆は? 聴衆はどう? 謝罪はないよ」
コルベア「それでは次に移民について話しましょう。OK? 全ての違法な助成金が追放されるべきであるとあなたが信じていることは知っています。本当?」
トランプ「本当」
コルベア「OK」
トランプ「我々は人々を率いなければならない―見ろよ、我々は国を持っている。我々は国境を持っている。我々は今は国境がない。我々は国を持っていない(※2)。我々は創造しなければならない。1番目、我々は壁を建てるだろう。2番目…」
コルベア「OK」
トランプ「おい聞けよ、みんな」
コルベア「彼らは―彼らは壁を愛している。人々は壁を愛している、と」
トランプ「我々は壁を持たなければならない。我々は国境を持たなければならない。そしてその壁には、美しく大きく分厚いドアが付けられるだろうよ。そこから人々が―入国してくるんだ」
コルベア「美しく分厚いドア!?」
トランプ「美しいドアから入国は出来る、だがそれは合法でなければならない」
コルベア「OK、わかりました。あなたはメキシコが壁建設の費用を払えと言いました。そんなことをメキシコにどうやって―「取引の芸術」とやらで―させるんですか? あなたがどうやってそれをさせるのかロールプレイしてみましょう。私がメキシコの大統領だとして、私に電話してみて下さい。OK? さあ、ほら」
トランプ「じゃあ行くよ。我々は壁を建設するだろう。壁建設の費用を払ってくれるかね? 我々は長い間国境で苦しめられてきたんだ」
コルベア「まあ、ひどい」
トランプ「ちょっと待って、ちょっと待って」
コルベア「いや、いや」
トランプ「わかってるんだろ、なあ。壁そのものは我々が責任を持つ―メキシコとの貿易赤字があることは知っているか? 今やってることに逆らって君をスティーブンと呼ぶけどさ。ほぼ―聞けよ、スティーブン」
コルベア「スティーブンって誰だ?」
トランプ「結構。約450億ドルの貿易赤字だ。壁の費用は50~70億ドルだよ(※3)。それは実際にとても簡単に建設できるものなんだ。それは侵入可能な壁じゃないだろう。それは重々しい壁になるだろう」
コルベア「一つよろしいですか?」
トランプ「いいとも」
コルベア「二つの壁についてです。OK?」
トランプ「関係ある?」
コルベア「いえいえ、関係ありません。壁が二つ、一つがここでもう一つがここ、間に堀」
トランプ「いいリゾート地だ」
コルベア「炎で満ちている。それと耐火ワニ(※4)。それで十分では?」
トランプ「どうかな」
コルベア「実際に人々を締め出すであろう壁をどうやって建てるんですか?」
トランプ「面白いことに、2000年前、中国にすごい壁があったんだ(※5)。13000マイルのね」
コルベア「イエス・キリストが建設を助けた」
トランプ「結構、結構。話しているの(壁)は約1000マイルだ。2000マイルあるけど1000マイル必要だ。我々は凄くて美しい壁を持つことができる。出来あがったら(不法移民を)止められるし、国境を持つことができる。それから何だと思う? パスポートを持っていない限り誰も入国しないし、彼らは合法的に入国する」
コルベア「OK」
トランプ「犯罪を防止し、問題を防止し、巨大な麻薬取引を止める。ほら、大きな麻薬取引やカルテルがあるだろ。(麻薬が)流入してるんだ。何も障害がないようなもので、流入してるんだ。シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスに。お金が流出して麻薬が流入する。これを止めるんだ」
コルベア「OK、それは結構なことです。それは結構なことです」
トランプ「そう思うよ」
コルベア「結構、それでは、大きく丸いボールを投げて、あなたに打ち返していただこうと思います」
トランプ「OK」
コルベア「OK? これは、もしあなたがそのボールを打つならば、この問題に対処する必要がある最後の時です。OK? 大きく丸いボールです。この手にこれくらい大きなボールがあります。OK?」
トランプ「よし、聞こう」
コルベア「バラク・オバマはアメリカで産まれました」
トランプ「いいかい…」
コルベア「どうです? 大きいボールです!」
トランプ「わかったよ」
コルベア「打ち返して下さい! ほら!」
トランプ「君に知ってほしいんだが、この件について私はもう話さないぞ」
コルベア「もう話さないですって!?」
トランプ「私は雇用について話す。退役軍人がひどい扱いを受けていることについて話す。その件については話さないぞ」
コルベア「そのボールはネズミによって階段下の地下鉄へ運ばれました」
※1.コルベアがコメディ番組でトランプをネタにしてきたことを指すか。ちなみに同番組では、トランプが大統領になると、よりいっそうネタにしまくっている。
※2.この部分はどうやら、「昔は政府がちゃんと機能していて国境が有効だったけど、今はそうじゃないんだぞ」と言いたいらしい。
※3.国際貿易収支と国家の歳入は別物である。ごっちゃにしてはいけない。
※4.耐火ワニ(Fire-proof Crocodiles)はアメリカ南部の国境でメキシコ人の流入を阻止するとされる架空の生物。もちろんジョークで作られたもの。
※5.万里の長城のこと。
最後の「バラク・オバマはアメリカで産まれました」というセリフについて少々解説を加えておきます。
そもそもアメリカ合衆国の憲法によると、大統領になれるのは「アメリカ市民として生まれた者」と規定されており、これは「アメリカ合衆国で生まれた者」だという解釈が根強くあります。私なんかは「アメリカ人から生まれたのなら、出生地が外国でもその子はアメリカ人だし、アメリカ市民として生まれた者と解釈してよい」と思っているのですが、ともかくも世の中には前述の解釈を採る人たちがいます。
さて、バラク・オバマ前大統領には、「実はアメリカで生まれたのではない」という噂が流れていました。もし本当にそうで、しかも前述の大統領は「アメリカ合衆国で生まれた者」であるべしとの解釈を採るならば、彼は大統領の資格を持たないということになります。
その疑惑に対してオバマ大統領(当時)はハワイでの出生証明書を提示し、疑惑を否定してみせました。いわゆる決定的な証拠というやつです。
ちなみにその疑惑を主張していた者の一人が誰あろう、ドナルド・トランプです。コルベアはその過去を持ち出したわけです。トランプにとっては黒歴史の一つで、トランプは必死に話を逸らそうとしていて面白い。
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