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もう一つの算数(2017年、アメリカ)

 この自主制作映画は、YouTubeで観ました。
https://youtu.be/Zh3Yz3PiXZw

監督:デーヴィッド・マドックス
出演:アリン・カレル、コール・ウィテカー、マイクル・マッコスリン、ブライアン・マッセイ
原題:Alternative Math
備考:風刺、コメディ

あらすじ…数学教師のウェルズ先生は、生徒のダニー君に2+2=22ではなくて2+2=4だと教えるが、翌日、ダニーの両親が抗議に来る。

 トランプ政権下のアメリカを風刺した作品。2+2=4という明白な真実が無視され、「ポスト真実」が幅を利かせています。
 そしてウェルズ先生はどんどん追い詰められて行きますが、最後に…おっと、ここから先は伏せておきましょうかね。

 ところで、この作品の説明文にはこう書いてあります。

A well meaning math teacher finds herself trumped by a post-fact America.
善意ある数学教師は、ポスト真実のアメリカによって自分がトランプされたと知る。

 なんとこの文章ではトランプが動詞になっています。どういう意味かは、本作を視聴すればわかるんじゃないかと思います。

【拙訳】
(月曜日)
ウェルズ先生「ああ、ダニー、入ってらっしゃい。問題があるみたいね。さあ、怒らないでね。ここで習うの。私たちは間違いから学ぶの。みんな間違いをするんだから」
ダニー「ううん」
ウェルズ先生「この問題を見て。2+2=? あなた22と書いたでしょ。足し算をする時は、数字を隣に置くんじゃないのよ」
ダニー「バカみたい」
ウェルズ先生「それじゃあ、こうしましょう。こっちの手に2本のマーカー、もう片方の手から2本のマーカーを足すと…私は何本のマーカーを持っているでしょうか?」
ダニー「22!」
ウェルズ先生「いいえ、ダニー。4です」
(火曜日)
ダニー母「ウェルズ先生ですか? ダニーの両親です」
ウェルズ先生「ああ、ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへ。御心配なく。課題がうまく行かない時に癇癪を起こすのは子供にはよくあることなんですよ」
ダニー母「それで、ダニーはいわゆるあなたのテストでどんな間違った答えをしたんですか?」
ウェルズ先生「テストをしました。問題の一つは2+2=?というものでした。ダニーは22と答えたのです」
ダニー父「それで?」
ウェルズ先生「それは正しい答えではありません」
ダニー母「誰が言ったの?」
ウェルズ先生「算数です」
ダニー父「息子をバカと言ったのか?」
ウェルズ先生「いえ、とんでもない!」
ダニー父「アンタの答えが正しくて息子のが間違ってるなんて誰が言ったんだ?」
ダニー母「いえ、先生が正しいわ」
ウェルズ先生「どうも」
ダニー母「ナチス・ドイツ的にはね」
ウェルズ先生「正直言って、あなたたちは2+2=?の答えをわかっていらっしゃらないようですね」
ダニー父「アンタはわかってるんでしょう? この知ったかぶりめ」
ウェルズ先生「ああああ」
ダニー父「ああああー。何だそりゃ? ○○遅れか?」
ウェルズ先生「結構です! すみませんが、私はもうこの会話を続けることはできません」
ダニー母「校長先生にお話いたします」
ダニー父「ダニーは自由な考えの持ち主だ!」
ダニー母「教師をクビになるわよ、アバズレ!」
ウェルズ先生「あなたが2+2=?をできない場合、そんなことにはならないでしょう」
(水曜日)
校長「ウェルズ先生」
ウェルズ先生「ああ、すみません、校長先生。気付きませんでした」
校長「昨日生徒の親御さんと問題を起こしたそうですね」
ウェルズ先生「ちょっとおかしいんですよ」
校長「あなたの手に負えなくなった時には私に知らせていただかないと」
ウェルズ先生「もちろんです。それで、どうなさりたいのですか?」
校長「謝罪をしてはどうでしょうか」
ウェルズ先生「謝…何ですって? 彼の母親が私を叩いたのですよ!」
校長「ダニーがテストで間違った答えを書いたと聞きましたが」
ウェルズ先生「彼はテストで間違った答えを書きました」
校長「生徒の正誤を指摘するのは我々の仕事ではありません」
ウェルズ先生「それこそが私たちの仕事でしょ」
校長「ご両親はあなたに、自分の偏見を子供たちに押し付けてほしくないのです」
ウェルズ先生「偏見ではありません。算数ですよ」
校長「どうしてうまく行かないかわかっていますか? あなたの態度が原因ですよ。多分私が数学用語を説明できれば、それであなたは理解できる。もしあなたが教室の生徒全員を0で割ったとしたら…。それこそが彼らから多くの尊敬を得る方法なのです。何か言いたいことでも?」
ウェルズ先生「数字をゼロで割ることもゼロを得ることもできません」
校長「じゃあ私がバカなんだ。書類を作っているちょっと狂った支配人だ。一方スーパースター教師のあんたが世界を変える!」
(中略。木曜日には教育委員会に呼び出されて査問を受け、結果教職をクビになる。金曜日はニュース番組で自分のことが非難されているのを観る)
(土曜日)
校長「ウェルズさん、お越しいただきありがとうございます。こんなことになってしまって申し訳ない。あなたがもっと心を開いてくれればと思っていたのですが」
ウェルズ「算数は? 学問の公正さは?」
校長「あなたは警告を受けた。弁明するとは…まだ粘るのですか? だが、私たちはもちろん財務上の義務を遂行いたします。前回の分2000ドルと今回の2000ドル。合計4000ドルです」
ウェルズ「違います。22000ドルです!」

【関連記事】
ドナルド・トランプ(目次)

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