トランプはモラーをクビにできるのか?(2018年、アメリカ)
このドキュメンタリーは、YouTubeで観ました。
https://youtu.be/ffRWsGXdXOc
監督:ジェイコブ・コーンブルース
出演:ロバート・ライヒ
原題:Can Trump Fire Mueller?
あらすじ…トランプ大統領はモラー特別検察官を解任できるかどうかについて解説する。
2016年のアメリカ大統領選挙に、ロシアがハッキングを含む各種の工作をしており、トランプ陣営もロシアの工作に関与していた…というのがいわゆるロシアゲート疑惑です(もちろんロシア政府は公式にはこれを否定)。ロバート・モラー特別検察官はこのロシアゲート疑惑を捜査しており、例えばマイケル・フリン大統領補佐官が辞任に追い込まれたりしています。
又、トランプ大統領がモラーを解任しようとしていたという情報が流れたこともあります。もちろんトランプ大統領は公式にはこれを否定していますが、これは大いにありそうなことです。なぜならトランプは、その前にジェームズ・コミーFBI長官をクビにしましたからね。
いずれにせよ、トランプにとってモラーが目の上のコブなのは間違いない。
さて、それでは拙訳をどうぞ。
【拙訳】
ナレーション「トランプはモラー特別検察官をクビにできるのでしょうか?」
トランプ「お前はクビだ!」
ロバート「できます。ですが、我々のシステムと、トランプの大統領の地位に多大のコストがかかります」
ロバート「法律から始めましょう。ビル・クリントンへの捜査でケネス・スターが起用された、1999年に発行された司法省の規則では、司法長官だけが特別検察官を解任できると述べています。他の理由ではダメです。そのような解任は所見に基づいて行わなければなりません。特別検察官が『不行跡、義務の放棄、無能、利害の衝突、またはその他正当な理由(司法省の方針の違反を含む)』により有罪であった場合です。ジェフ・セッションズ司法長官はモラーの捜査を監督することを忌避しています。ですので、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官が担当しています。もしトランプがローゼンスタインにモラーを解任するよう指示したら、ローゼンスタインはモラーを解任する『正当な理由』を見付けなければならないでしょう。あるいは、そのような司法省の規制要件を廃止してそれからモラーを解任することです」
トランプ「お前はクビだ!」
ロバート「もしローゼンスタインが拒否すれば、トランプはローゼンスタインをクビにし、次の職員にダイレクトにモラーを解任させることができます。そして彼はモラーを解任してくれる誰かをみつけるまで順々に解任し続けることができるのです」
ロバート「リチャード・ニクソンはいわゆる『土曜日の夜の虐殺』でそのようなことをしました。彼はウォーターゲート事件の特別検察官アーチボルト・コックスを解任しろと司法長官エリオット・リチャードソンに命じました。リチャードソンが拒否し、抗議の辞任をすると、ニクソンは次にウィリアム・ラッケルズハウス司法副長官にコックスの解任を命じました。ラッケルズハウスも拒否し、辞任。それからニクソンは、司法省のトップに就いたロバート・ボーク司法長官代理にコックスの解任を命じました。ボークはその行為(解任)をしました」
ロバート「トランプには別の方法もあります。彼は単純にセッションズ司法長官に特別検察官規則の廃止を命じ、トランプ自身がモラーをクビにすることです。しかしニクソンの話が示しているように、これらの道筋はトランプの大統領の地位と我々の政府のシステムの両方にとって危機的なものになるでしょう。なぜなら、それらは我々の司法システム及び大統領職の公平性に対する国民の信頼を損なうからです。それらはまた、モラーの捜査はトランプの大統領の地位を侵害する陰謀の一部だと信じているトランプ支持者と、(ロシアとの関与を)信じる可能性がより高い大多数のアメリカ人との間を大きく分断するでしょう。これらの行動の結果として、トランプはこれらの代償を何とか隠そうとしています。問題なのは、それでもなお、トランプはその危険を冒すのをいとわないかということです」
もしもトランプがモラーをクビにしたら、私なんぞは「やっぱりやましいことがあったからだな」と思うでしょうな。
最後に、作品中で取り上げられた「土曜日の夜の虐殺(Saturday Night Massacre)」についても少々。これは1973年10月20日に実際に起こった事件で、これによりニクソン大統領の威信は失墜し、結局は大統領職の辞任につながります。
つまり、この作品では「土曜日の夜の虐殺」を持ち出すことによって、「もしトランプ大統領がこれと同じようなことをやったら、ニクソンと同じ末路を辿るぞ」と暗に警告しているわけです。
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ドナルド・トランプ(目次)
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