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太宰治「待つ」

あらすじ…若い女性が毎日、駅前で待ち続ける。

 誰を待ち続けているのか? あるいは、何を待ち続けているのか? それは主人公にはわからない。そんなもどかしさがあります。

いよいよ大戦争がはじまって、周囲がひどく緊張してまいりましてからは、私だけが家で毎日ぼんやりしているのが大変わるい事のような気がして来て、何だか不安で、ちっとも落ちつかなくなりました。(P361)

 引用文中の大戦争とは第二次世界大戦だな。人によっては太平洋戦争だの大東亜戦争だのと言うかもしれませんが、いずれにせよ第二次世界大戦なので、ここでは第二次世界大戦と言って差し支えあるまい。
 ともあれ、大戦による社会的緊張の高まりが、主人公の心理に不安を与えているようです。だとすると、彼女が待ち続けているのは上記の不安を解消してくれるもの、即ち平和だと解釈できますな。

【参考文献】
紅野敏郎・紅野謙介・千葉俊二・宗像和重・山田俊治・編『日本近代短篇小説選 昭和篇I』岩波書店

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