オーソン・ウェルズのフォルスタッフ(1966年、スペイン・スイス)
監督:オーソン・ウェルズ
出演:オーソン・ウェルズ、キース・バクスター、ジョン・ギールグッド、ジャンヌ・モロー、イングリッド・ピット、マーガレット・ラザフォード
原題:Falstaff (Chimes at Midnight)
原作:シェイクスピア『ヘンリー四世』
備考:古典劇、モノクロ
あらすじ…ヘンリー四世治世下のイングランドでは反乱が相次いでいた。そんな中、ハル王子は太った老人フォルスタッフと一緒になって巡礼の金を奪ったり売春宿で王様ごっこに興じたりしていた。
シェイクスピアの歴史劇『ヘンリー四世』を、フォルスタッフを主人公に据えた作品。この作品ではフォルスタッフをオーソン・ウェルズが演じています。
中盤にシュルーズベリーの戦いが登場。合戦のシーンは壮観です。
一方、フォルスタッフはボロボロの鎧に身を固めて戦場をトコトコ歩きます(戦っているわけではない)。戦闘シーンとのギャップが滑稽味を増しているようです。
さて、ここから先は結末部分のネタバレを含むのでご注意下さい。
物語の終盤、イングランド国王に即位したハル王子改めヘンリー五世は、喜色満面でやってきたフォルスタッフ(新国王の下で甘い汁を吸おうというのだろう!)に対して追放刑を宣告します。
この仕打ちを冷たいと見る人もいるでしょうが、私は「エドワードII」という映画を観ていたから、ヘンリー五世の処置に対して無下に反対できない。
ここで「エドワードII」のストーリーを簡単に述べておきます。イングランド国王に即位したエドワード2世は、父親によって追放されていた寵臣ガヴェストンを呼び戻し、二人で放蕩にふける。そしてそんな二人には悲劇が襲いかかる…。具体的にどうなったのかは伏せておきますが、それぞれ悲惨な末路を辿ることになります。
つまり、「エドワードII」で描かれていたのは、もしもヘンリー五世がフォルスタッフと共に放蕩生活を続けていたら…という世界に見えてしまうのです。
そう考えると、ヘンリー五世の「処断」は、自分の王冠を守るだけでなく、フォルスタッフをも守ったことになったのだと言えるでしょう。
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