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遠藤周作「白い人」

あらすじ…第二次世界大戦中のナチス・ドイツ占領下のリヨン。サディスティックな青年がゲシュタポの手先となって拷問を手伝う。

【主要登場人物一覧】
主人公…………………………元法科大学生。後にゲシュタポの手先になる。
ジャック・モンジュ………………神学生。後にマキの連絡員になる。
マリー・テレーズ………………ジャックのいとこ。
モニック…………………………マリーの友人。
中尉……………………………ゲシュタポの将校。
アレクサンドル・ルーヴィッヒ…ゲシュタポの手先。
アンドレ・キャバンヌ……………ゲシュタポの手先。

 ゲシュタポはナチス・ドイツの秘密警察。マキはフランスの抗独レジスタンス組織。

 さて、この作品はドイツ軍がリヨンから撤退するという状況下で主人公が過去を回想しながら手記を書くという体裁を取っています。
 主人公がリヨンに留まり続ければゲシュタポの手先として糾弾されることは目に見えているから、「勿論、逃げるつもりだ」(P17)と述べていますが、それではどこへ? おそらくはドイツへ。だが、ナチス・ドイツがその後どうなったのかを考えると…。

 ところで、この作品の終盤でこんな文章が出てきました。

 耳の底で戸をあけたり、しめたりする音がきこえる。「坊や、坊や」それは臨終の刹那に私をよぶ母の声だ。「悪魔!」ホテル・ラモのホールでジャックは片手をあげて叫んだ。「右を見ろと言うのに、右を」(P88)

 最後のセリフは主人公が子供の頃に、父親が主人公に言った言葉です。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、この時点で主人公は心身共に疲弊しきっていた(P87に「私は非常に、非常に疲れていた。肉体の疲労だけではないらしかった」とある)らしいから、心の奥にあるものが走馬灯のように流れ出てきたものと思われます。あんまり良い思い出じゃありませんな。

【参考文献】
遠藤周作『白い人・黄色い人』講談社

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