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サタデー・ナイト・ライブ:トランプの電話会談(2017年、アメリカ)

 この動画は、YouTubeで観ました。
https://youtu.be/pZOF9q5fzfs

出演:アレック・ボールドウィン、ベック・ベネット、アレックス・モファット、ケイト・マッキノン
原題:Oval Office Cold Open - SNL
備考:コメディ

あらすじ…トランプ大統領が各国の首脳と電話会談をする。

 まずは原題について。
 "Oval Office"は大統領執務室のこと。この作品の舞台は大統領執務室となっています。
 それから、"Cold Open"は番組制作のテクニックの一つで、直接話に入った後でタイトルやオープニングを入れる手法です。実際、この話の最後でバノンがタイトルコールをしています。
 ただ、YouTubeのこの動画ではこれだけで終わっているので、邦題を(勝手に)付ける際には内容を重視しました。

 さて、スティーブ・バノン(大統領顧問)が死神姿で登場しています。そういえばこの人、死神って呼ばれてたんでしたっけ。日本だったら自民党のゲッベルスこと世耕弘成にナチス・ドイツの格好をさせるようなものでしょうか。
 それから、トランプが一方的に電話を切るというのは、1月28日にオーストラリアのターンブル首相に対して実際にやったことです。非礼にもほどがある。
 又、最後にバノンが大統領の席に座るのは、彼が影の大統領であることを風刺したものです。その横の小さなデスクでトランプが遊ぶって…ある意味すごいわ。

 それでは私の翻訳をどうぞ。

【拙訳】
デービッド「大統領、失礼します。夜なのでもう帰ろうと思いますが、何かご指示はありますか?」
トランプ「いや、ないよ、デービッド。だけどさ、ホワイトハウスで働くってどうなんだい? 両親は誇りに思っているかね?」
デービッド「アップルビーズ
(※1)で働くようなものです」
トランプ「結構。あともう一つ。ほら、私は娘のイヴァンカと彼女の夫のジャレッドを愛している。彼らはいつも私を穏やかに保ち、何か狂いすぎたことをしないことを確かめる」
デービッド「その通りです」
トランプ「簡単な質問だ。彼らはいないのか?」
デービッド「はい、彼らは安息日
(※2)でいません」
トランプ「完璧だ。ユダヤ人がいない時、正統派ユダヤ教徒は遊ぶだろう。それじゃあスティーブ・バノンを寄越してくれ」
バノン「やあ、ドナルド。来たぞ」
トランプ「やあスティーブ、くつろいでいるな」
バノン「それはどうも」
トランプ「私は違うよ。私は長い一日を過ごした。疲れてヘトヘトだよ。誰かに訳のわからないことができるように感じる」
バノン「多分オーストラリアに電話すべきだ」
トランプ「マジ? 何も打ち合わせとかしてないけど。それってまずくない? …やってみよう」
ターンブル「もしもし、オーストラリア首相のターンブルです」
トランプ「はい、もしもし、ドナルドです」
ターンブル「トランプ大統領、これはどうも。あなたのムスリム入国禁止令について多くの否定的な反応があると聞いています」
トランプ「いや、そうじゃない。みんなそれを愛している。ボーリンググリーンでの大虐殺
(※3)のゆえに我々はそれをやらなければならなかった」
ターンブル「そんなの聞いたことがない」
トランプ「ああ、恐ろしいよ
(※4)。多くの人たちが死んだけど、実際、彼らは幸運だ。彼らは『アプレンティス』(※5)がどれだけ悪いものになったかを見なくてよかったのだから」
ターンブル「トランプさん、我々の難民をいまだに受け入れ続けていることに感謝します」
トランプ「何だって?」
ターンブル「オバマ大統領は1200人の難民を受け入れると言いました。貴国の思いやりは忘れられることはないでしょう」
トランプ「いやいやいや、難民なんて! アメリカが第一でオーストラリアはクソ、おたくのサンゴ礁は破たんしている。戦争の準備をするんだな!」
ターンブル「ちょちょ、待て」
トランプ「スティーブ、まずいことになったと思う。まずかったか?」
バノン「いいや、計画通りだ」
トランプ「誰の計画だ? 君の計画か?」
バノン「いいや、あなたの計画」
トランプ「OK、よろしい。メキシコに電話しよう。私は彼らに壁の(建設)費用を払わせる賢い外交手段を考え出したんだ」
ペニャニエト「もしもし、ペニャニエト大統領です」
トランプ「壁の費用を払ってくれる人は何と言った?」
ペニャニエト「へ?」
トランプ「いや、壁の費用を払ってくれる人は何と言った?」
ペニャニエト「へ?」
トランプ「いやいや、君は『何だ』と言わないと」
ペニャニエト「ハハハ、君が言ってるのは、君自身が壁の費用を払ってくれるってことか」
トランプ「いや、お前が払え、負け犬、悪い奴め。俺たちの戦車が来るぞ、戦争の準備をするんだな!」
トランプ「スティーブ、私はもう働き過ぎている。やめるべきだ」
バノン「もしくは多分ドイツに電話すべきだ」
トランプ「OK」
メルケル「もしもし、私の愛しいバラク? バラク・オバマ、寂しかったわ」
トランプ「いえ、ドナルド・トランプです」
メルケル「ああっ、気持ち悪っ! ええ、ドナルド。あなたの国民はまだ抗議してるの?」
トランプ「はい、みんな通りを行進していて、彼らは『アプレンティス』がどれだけ悪くなってしまったのか怒っています」
メルケル「電話をおかけいただいてありがとうござい…
(※6)
トランプ「非常に重要になりつつある人物がいます。彼の名前はフレデリック・ダグラス
(※7)。直ちに彼と連絡を取ろうと思っている。彼は今非常に忙しいんだ」
メルケル「それはとても凄いわね、ドナルド。私もう行かないと…」
トランプ「私も2週間前の国際ホロコースト記念日については真面目になりたいんです。あなたもご存知の通り、600万人が…私の就任式にいました。そこにはそれだけ多くの人たちがいたんです。メディアはそれをカバーするのを拒否しました。不公平です。いつの日か、この闘争についての回想録を書いて、それを『我が闘争』
(※8)と呼ぶつもりです。アンジェラ、ドイツ語では何て言うんだい?」
メルケル「アンゲラです」
トランプ「え?」
メルケル「私の名前はアンゲラです」
トランプ「私を修正しないでくれ。今は私が統括している。ドイツはクソ、お前の壁は失敗、戦争の準備をするんだな!」
バノン「ああ、とても面白かったぞ」
トランプ「ありがとう、スティーブ、ありがとう。ああ、とてもいいことを思い付いた。見てろ」
ペニャニエト「もしもし?」
バノン「もしもし、おめでとうございます、あなたに2名分のハワイ無料航行が当選しました。あなたの国のクレジットカードの番号をご用意下さい」
ペニャニエト「我々は壁の費用を払わないぞ、ドナルド」
トランプ「ああ、そうだな」
トランプ「スティーブ、我々のいわゆる同盟国は全て私にとっては意味深い」
バノン「適当な小国に電話したらどうかな? 誰がボスか見せてやるんだ」
トランプ「ジンバブエはどう?」
バノン「完璧だ。アメリカの底力を見せてやるんだ」
ムガベ「もしもし?」
トランプ「ジンバブエ、こちらは町の新しい保安官だ」
ムガベ「待て、ドナルド・トランプか?」
トランプ「そうだ」
ムガベ「俺を独裁者だとでも思ってるのか? お前の背骨を裂いてやる! そしてお前の髑髏盃で酒を飲むぞ! お前は階下を歩くことさえできない! このチビの白人の厄介者め! 二度とジンバブエに電話してくるんじゃねえぞ!」
バノン「OK、ドナルド。今夜はもう充分楽しめたぞ。もう元のデスクに戻ってもいいかな?」
トランプ「ああ、もちろんだ、大統領閣下
(※9)。自分のデスクに行くよ」
トランプ「これ面白いな。大好き」
バノン「ああ、面白い。それではニューヨークから中継だ、サタデー・ナイト!」

※1.ファミリーレストラン。
※2.ジャレッド・クシュナーは正統派ユダヤ教徒であり、安息日を守る。又、妻のイヴァンカも同宗教に改宗している。
※3.ボーリンググリーンはアメリカのケンタッキー州の都市。トランプのカウンセラーのケリーアン・コンウェイがその地で虐殺事件(Bowling Green massacre)が起こったと言ったが、実際にはそんな事件は起こっていなかった。
※4.ターンブルは文字通りそんな事件は聞いたことがないと言っているが、トランプはそれを前代未聞の事件だと述べたと解釈している。
※5.かつてトランプが司会を務めていたテレビ番組。アーノルド・シュワルツェネッガーが2017年1月からこの番組の司会を務めている。
※6.原語は"Thank you so much--"とあり、直訳すると「ありがとうございます」だが、メルケルは話を切り上げたがっているように見受けられたのでそのニュアンスを込めて訳した。
※7.フレデリック・ダグラス(1818-1895)は黒人の奴隷制度廃止運動家。トランプは彼が存命中であるかのように話した。
※8.『我が闘争』はヒトラーの著書。
※9.バノンは「影の大統領」とも呼ばれていた。

ドナルド・トランプ

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ドナルド・トランプ(目次)

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