松岡和子訳『アテネのタイモン シェイクスピア全集29』筑摩書房
あらすじ…なみはずれて気前のいい貴族タイモンは、莫大な財産を人々のために惜しみなく使う。華やかな宴、高価な贈り物。しかし、その裏で財政は破綻していた。急転直下の状況で、掌を返す取り巻きたちに対してタイモンが取った極端な行動は……。(裏表紙の紹介文より引用)
第四幕第三場でタイモンが土中から埋蔵金を掘り当てたくだり(P122)を読むに至って、芥川龍之介の短編小説「杜子春」を想起しました。
どちらも主人公の男は大金持ちだったのが、浪費の果てに素寒貧になると取り巻き連中は手のひらを返して離れてゆくが、主人公は埋蔵金を掘り当てる、といったところが共通しています。ただし、共通しているのはそこまでで、その後の金の使い道や物語の結末は全く異なります。そもそもこの時点でタイモンは正気を失っていたし、古代ギリシアに仙人は登場しませんからね。
【参考文献】
松岡和子訳『アテネのタイモン シェイクスピア全集29』筑摩書房
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