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エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』文藝春秋

 フランスの人類学者エマニュエル・トッドへの複数のインタビュー記事をまとめたもの。

 さて、「ドイツ帝国」とカギカッコが付いていることに留意されたい。これはつまり、本書で述べられている「ドイツ帝国」はナチス・ドイツのドイツ第三帝国などとは違うということを示しています。即ち、今回の「ドイツ帝国」はヨーロッパ各地に広がるドイツ経済圏を指しているのです。
 それでは、その「ドイツ帝国」がどうやって「世界を破滅させる」というのか? 詳細なメカニズムの描写は本書に譲るとして、ここでは一例を引用します。

 ドイツが頑固に緊縮経済を押しつけ、その結果ヨーロッパが世界経済の中で見通しのつかぬ黒い穴のようになったのを見るにつけ、問わないわけにはいかない。ヨーロッパは、二〇世紀の初め以来、ドイツのリーダーシップの下で定期的に自殺する大陸なのではないか、と。(P143)

 二〇世紀の初め以来云々というのは、第一次世界大戦と第二次世界大戦を念頭に置いているのでしょう。ただし、今回の「自殺」は軍事抜きですが。

【参考文献】
エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』文藝春秋

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