三島由紀夫「綾の鼓」
あらすじ…法律事務所の老小使・岩吉は、向かいのビルの洋裁店に姿を現わす華子に恋をし、恋文を送り続けていた。洋裁店の連中は一つからかってやろうということになって…。
この作品は大きく前半と後半とに分かれています。即ち、岩吉が死ぬまでが前半であり、岩吉の亡霊と華子が会話をするのが後半です。
そこで一つ気付いたのは、前半では華子のセリフが一切ないということです。後半で亡霊としゃべりまくるのとは対照的です。ひょっとしたら華子は、現世より幽界の人間と話す方がお似合いなのかもしれませんな。
【参考文献】
三島由紀夫『近代能楽集』新潮社
« ボウリング公園の冬と夏(2017年、カナダ) | トップページ | 鏡の中の幽霊(2011年、アメリカ) »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 絵・天野行雄『動物園怪談画劇―井之頭百物語・玖―』井の頭自然文化園(2025.03.28)
- 大前粟生「タンを待ちながら」(2025.01.28)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(6)ボズワースの戦い(2024.06.06)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(5)第二の求婚(2024.06.05)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(4)処刑と暗殺(2024.06.04)
コメント