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パオロ・マッツァリーノ『「昔はよかった」病』新潮社

 「昔はよかった」
 と言ってる人がいるけど、資料を調べてみたらそうでもなかったぞ、というもの。過去の記録・統計を持ち出して、老人の追憶をぶち壊してくれています。追憶にひたっていたい人間にとっては厭な本になるのでしょうが、これはこれで痛快ではある。

 どういうわけか少なからぬ日本人が、日本人の倫理や品性はむかしより劣化したと決めつけてます。
 これは自虐ではありません。いまの日本人はむかしよりダメになったと主張するかたがたは、「自分以外の日本人が劣化した」と考えているのですから。

 いまの日本人は劣化した。
   ↓
 むかしの日本人はまともだった。
   ↓
 むかしの日本人にシンパシーを感じる私は、まともで劣化していない。

 なんの根拠もないエセ三段論法で自分を正当化できるのでとても便利です。
 「日本はダメになった」という言説の裏には、「自分だけは除く」と、ただし書きがあるのです。
(P19-20)

 なるほど。テレビやラジオなどでコメンテーターが「日本人は劣化した」と言い出したら、上記のカラクリを駆使しているというわけですな。
 ちなみに、歴史に詳しい人に訊けばわかると思いますが、昔の日本人にだって金と女に汚い者(例:井上馨)や君側の奸(例:坊門清忠)、無能な者(例:一条兼定)なんかがいますからね。吉田松陰や二宮尊徳のように立派な人がいたのは事実ですけど、そういう人たちの栄光の陰に埋もれている、彼らより「劣った」日本人だって大勢いるのも事実です。

【参考文献】
パオロ・マッツァリーノ『「昔はよかった」病』新潮社

【関連記事】
パオロ・マッツァリーノ『つっこみ力』筑摩書房

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