吉川英治「増長天王」
あらすじ…肥前鍋島家の御用窯。そこの傲岸不遜な陶工・久米一のところへ鍋島家から注文が入る。一方その頃、窯焚きの百助が山目付の鈴木杢之進に、久米一の娘・棗とラブラブな絵描座の兆二郎が実は他国の間者だと告発していた。
増長天王は四天王の一。この作品で久米一が作るのが増長天像であり、と同時に増長天王が傲慢増長の久米一を指す悪口(P21)になっています。
それはさておき、兆二郎にかけられた嫌疑は、今で言えば産業スパイ。鍋島焼の秘法を狙っているというわけですか。
その嫌疑が本当か否かはネタバレ防止のために伏せておきますが、そもそも秘法には文字に書かれていない(書き切れない)膨大なノウハウが含まれているから、盗み出すのは容易ではあるまい。殊に久米一のようなトップクラスのものともなると、盗み出す方の感性も技術も高い水準が求められるでしょうな。
【参考文献】
『吉川英治歴史時代文庫75 治郎吉格子 名作短編集(一)』講談社
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