木村靖二『第一次世界大戦』筑摩書房
本書にこんな記述がありました。
両陣営とも、一六年には中立国を味方に付けるだけでなく、相手の国内や支配領域下の被抑圧民族や反体制勢力を支援して、相手の戦時体制を揺るがそうとする、いわゆる「革命化」政策を実行するようになる。(P132)
正面切っての戦いでは決着が付かないので、このような迂遠な陰謀も駆使しなければならなくなったのでしょう。
尚、引用文中にある中立国とはブルガリアやイタリアなどのことで、ブルガリアは同盟国側(ドイツ・オーストリア)に、イタリアは連合国側(イギリス・フランス)について途中参戦しています。
さて、革命化政策についてですが、本書では一例として「アラビアのロレンス」(P133)を挙げています。これはアラン・ドロン主演の映画によって有名になっていますが、私は未見。そのうち観たいものです。
ともあれ、戦争ともなれば挙国一致で…というのは理想であり、現実には各地で爆弾を抱えていたということですな。
それではどんな成果があったかって? ロシアを見よ。
ちなみにこういったことは現在も行われているようです。例えばアメリカ政府はダーイシュ(ISIS)打倒のためにシリアの反体制派やクルド人勢力を支援しています。
【参考文献】
木村靖二『第一次世界大戦』筑摩書房
【関連記事】
別宮暖朗『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』文藝春秋
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(1)
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(2)
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