嵐が丘(1988年、日本)
監督:吉田喜重
出演:松田優作、田中裕子、名高達郎、石田えり、萩原流行、三國連太郎
原作:エミリー・ブロンテ『嵐が丘』
備考:時代劇
あらすじ…山部高丸は都で拾った孤児を連れて帰り、鬼丸と名付ける。成長した鬼丸は高丸の娘・絹と惹かれ合うが、絹は都へ巫女にやられることに。絹は一計を案じ、分家の西の荘・山部光彦に嫁ぐことにする。
上記の人物関係図は物語の前半まで。後半になると絹の娘(母と同名の絹)や秀丸の息子(良丸)が愛憎劇のプレイヤーとして参戦します。
尚、原作の小説は未読。又、『嵐が丘』は何度も映像化されていますが、そちらの方も未見。ですので、それらとの比較はしません。
それはさておき、東の荘と西の荘の建物や周囲の風景などがどことなく「蜘蛛巣城」に似ているなと思ったら、舞台美術を手掛けたのが同一人物(村木与四郎)で、しかもロケ地がいずれも富士山の太郎坊でした(ソースは「嵐が丘」の方はDVD収録のメイキング、「蜘蛛巣城」の方はwiki)。
それから、絹(田中裕子)の能面のような美しさと、鬼丸(松田優作)の野人の如き精悍さは対照的です。二人の濡れ場ではそれをより一層感じ取れます。もっとも、後半の鬼丸は野人というよりも鬼、更に最後は鬼神の如き有様となるのですが…。
又、死期を悟った絹が、「自分が死んだら鬼丸を地獄に連れて行く」といった主旨のセリフを述べます。一見するとこれは夫と娘を鬼丸から守ろうとしているのだと受け取れますが、実はあの世で自分は鬼丸と添い遂げる気なのだと解釈できないこともない。
更に意地の悪い見方をするのならば、絹は鬼丸と同様、自分も地獄に堕ちる存在だと自覚していたんじゃないでしょうか。
最後に、作品を観終えて一言。こりゃ祟るな。
そもそもあんな魔神がくたばったとしても、おとなしく冥土へ引っ込んでくれるわけがないからです。観ているこっちの方はお腹いっぱいなので、あそこで話が終わってメデタシメデタシなのですが、物語の登場人物たちにとってはそうではあるまい。きっと今後も鬼丸の影に怯える日々を送るでしょうな。あな恐ろしや。
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・嵐が丘(1939年)
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