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無宿人別帳(1963年、日本)

監督:井上和男
出演:佐田啓二、岡田茉莉子、田村高廣、長門裕之、三國連太郎、中村翫右衛門、渥美清
原作:松本清張
英題:Eacape from Hell
備考:時代劇

あらすじ…江戸時代。佐渡の金山に無宿人たちが運ばれてくる。だが、元々苛酷な労働環境に加え、奉行所からの無茶な命令により死傷者を出し不満が爆発。遂に集団脱走の挙に出る。

 群像劇。ここに出てくるのは無宿人たちのみならず、新任の佐渡奉行、彼の腹心とその妻、出世を目論む小役人、悪徳商人なども各自うごめいています。
 彼らを一々追いかけていたら、一回の視聴だけでは全然足りない! というわけで、ここでは数人に絞って述べることにします。

 まずは渥美清。映画「男はつらいよ」シリーズ以外で彼を見かけるのは珍しく、新鮮です。いえね、彼の長いキャリアの中では他にも数多くの映画に出演しているんですけど、あいにくと観る機会がなかったんですよ。
 で、この作品では無精ひげの無宿人(役名は市兵衛)を演じているのですが、あの顔は不変なので一発でわかりました。

 次に三國連太郎。彼は下役の無宿人(役名は新平)で、最初は目立たない。中盤で悪徳商人から接待を受けるくだりでようやく三國連太郎だと気付きました。
 又、詳しく言うとネタバレになるので明かせませんが、脱出がうまく行かず追い詰められるにつれて、新平は人間の醜悪な部分をどんどん出してきます。これはえぐい。

 最後に、田村高廣演じる佐渡奉行・横内主膳。着任早々に金山の不正を見抜いたことから、それなりに優秀なのでしょう。しかし現場を無視した無茶振りで結局はそれが大惨事へとつながります。ただの無能より性質(たち)が悪い。
 とはいえ、これくらいひどくないと話が盛り上がらないか。

【松本清張原作の映画】
霧の旗(1977年)
点と線(1958年)
張込み(1978年)

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