マーシー・ハイディッシュ『呪縛の炎』早川書房
あらすじ…ワシントンでウェザレル古書店を経営しながら小説も執筆しているアリス・グレイ。彼女は小説の題材として、18世紀の植民地時代に魔女狩りで火あぶりにされた産婆エバンジェリン・スミスについて調べる。だが、それと共に現在のアリスの周囲で殺人事件と盗作騒動が起き…。
この物語の主人公アリス・グレイは、エヴァンジェリン・スミスと自分が似ていることに気付きます。そこまではよくある話です。歴史をひもといて行けば様々な人物に巡り会うわけで、その中には自分と似た境遇の人物、自分と似た性格の持ち主、あるいは自分と顔が似ている人たちがいます。
「古本屋兼作家と、薬剤師兼産婆のどこが似ているの?」なんて野暮なこと言っちゃいけません。アリス・グレイはもっと別のところに相似を見出しているのです。例えば自立した女性である、といったことですな。
さて、物語は過去の事件をなぞるかのように現在の世界でも事件が起きます。上掲の人物関係図ではとりあえず第一部までとしましたが、この後も殺人事件が起こるし、18世紀の方でもそれと対応するかのような殺人事件が明らかになります。
こうなるとシンクロニシティというかオカルトめいてきているというか…。犯人側がそれを狙ってやっているのならまだわかるのですが…おっと、これ以上はネタバレになるので伏せておきます。
それから、主人公の身に起こった「衝撃の結末」についても言及しておかねばなりますまい。詳しくは言えませんが、ぶっちゃけて言うと超常現象です。科学では全く説明が付きません。一応、作品の中で説明がなされているものの、非科学的です。
ファンタジー小説やホラー小説ならそれでもいいのですが、ミステリーでそれをやっちゃまずいと思います。
【参考文献】
マーシー・ハイディッシュ『呪縛の炎』早川書房
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