ディクスン・カー『帽子収集狂事件』東京創元社
あらすじ…夜霧たちこめるロンドン塔逆賊門の階段で、ひとりの男が屍体となって発見された。その頭には、およそ服装とはちぐはぐなシルクハットがのっており、いっぽうロンドン市内には帽子収集狂が跳梁して帽子盗難の被害届が続出する。帽子、帽子、帽子。終始、帽子の謎につきまとわれた怪事件は、ロンドン塔を舞台にエドガー・アラン・ポオの貴重な未発表原稿へとつながっていく。(P1)
上掲の人物関係図の中に「帽子収集狂」の名を書き漏らしてしまいました。でも、勘の良い読者ならば、この中に「帽子収集狂」がいることは察しが付くものと思われます。
それから、殺害されたフィリップ・ドリスコルの頭に盗まれた帽子があり、これによって「帽子収集狂」が殺人犯ではないかと疑われます。
だがちょっと待てよ。帽子泥棒と殺人とでは全然レベルが違うぞ。この不自然さは…おっと、これ以上はネタバレ防止のために伏せておくことにします。
最後に、エドガー・アラン・ポーの未発表原稿について少々。
新聞の社会欄などに時たま、作家の未発表原稿が見つかったという小さな記事が出ることがあります。ポー級のビッグネームは滅多になく、多くはあまり有名でない人たちですが。
そんなわけで、ポーの未発表原稿があるとすれば、それだけで記事になるんでしょうな。フィリップ・ドリスコル記者はこのネタに食い付こうとしたんだろうか? いや、彼の性格からすると…。
【参考文献】
ディクスン・カー『帽子収集狂事件』東京創元社
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