ディクスン・カー『髑髏城』東京創元社
あらすじ…ローレライで名高い絶景のライン河畔にそそりたつ不気味な髑髏城を、稀代の魔術師メイルジャアが入手して、のぞみどおりの幻想の城に改築した。しかし城の持主はライン川に死体となって浮び、あとをついだ俳優マイロン・アリソンは全身を火炎につつまれて城壁から転落。あいつぐ惨死事件の真相をさぐるべく、パリの名探偵バンコランとベルリン警察のフォン・アルンハイム男爵とのあいだに、しのぎをけずる捜査争いが展開する!(P1)
上記の人物関係図では別荘の客を一くくりに表記しましたが、彼らは彼らで複雑な関係を持っていることが捜査の過程で明らかになります。長編小説の文量ともなると、そういったところも込み入って描写されますからね。
さて、本作の特徴の一つは、バンコランとフォン・アルンハイムの二人が捜査を競うという展開にあります。どちらか一方が無能だったならば、そいつは有能な方の引き立て役になり下がるんでしょうけど、どちらも優秀と来ている。そのため相乗効果が働いたのか、捜査に乗り出してから極めて短時日のうちに事件の解決を見ています。
例えば片や髑髏城を探索し、片やアリソン氏の部屋を探索するといった具合で進み、それぞれが成果を挙げています。探偵が一人しかいなかったら、あの魔改造を施された髑髏城だけで相当の時間を要したのではないでしょうか。
【参考文献】
ディクスン・カー『髑髏城』東京創元社
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