鶴間和幸『人間・始皇帝』岩波書店
始皇帝時代の竹簡(睡虎地秦簡、里耶秦簡など)や兵馬俑坑などの調査から、司馬遷の「『史記』の読み直しを行い、始皇帝の人間としての実像に迫」(P7)ろうというもの。
ただ、どこまで彼の人間像に迫れたのかというと、まだまだ途上にあると言わざるをえません。例えば始皇帝御製の詩でも発見されたのならともかく、末端の役所の通達なんかでは「雲の上の人」の実像なんて知りようがないし、これまで知られていなかった歴史書が発掘されたとしてもその書の信憑性が低ければ「そういう異説もあった」程度で片付けられてしまいます。
しかしながら、彼の名前が「政」ではなくて「正」だというのは驚きでしたな。どうして本来は「正」なのか、そしてなぜ今は「政」になっているのかについての長い説明は本書に譲りますが、これが定説となれば世界史の教科書の書き換えが必要になってくるでしょう。
【参考文献】
鶴間和幸『人間・始皇帝』岩波書店
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