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中井英夫「牧神の春」

あらすじ…貴(たかし)は役に立たない考えばかりに取りつかれていた。そんなある時、貴の頭に角が生えてきて…。

 貴君はノイローゼなのかな?
 ちなみに、頭に角が生えるというのは、シェイクスピア劇で言及されたら女房を寝取られたことを意味し、『三国志』の魏延なら死亡フラグといったところです。
 とまあ、あんまり役に立ちそうにないことを書きましたが、本作では貴君はこの後、牧神パンの如き姿に変身します。牧神パンに変身するのではなく、牧神パンの如き姿に、としたのは、彼が牧神パンらしいことをしていないと判断したからです。野山を駆け回ったりニンフを追いかけたりはしていますが、その程度ならばサテュロスでもやっている。
 そうですねえ…葦笛を吹いたり、雄たけび(※)なんかをやったら違ってくるでしょうな。

※パンの雄たけびは恐慌(panic)をもたらす。panicの語源はPan。

【参考文献】
小川洋子編著『小川洋子の陶酔短篇箱』河出書房新社

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