奥富敬之『義経の悲劇』角川書店
平家滅亡後、兄頼朝に打ち捨てられ、逃走と放浪の末、薄幸の生涯を終えた、という人物像が巷間に流布する義経。はたして、それは本当なのか。大きな歴史のうねりの中で翻弄され続けた義経の知られざる実像を、頼朝の思想との対比を通して史実に沿って検証。真実の義経像に迫る。(裏表紙の紹介文より引用)
「政治性欠如の武将、義経」(P152)。彼の印象はこの語に尽きる。
もしも源義経に多少なりとも政治的センスがあったならば、兄・頼朝が目指していた武家政権樹立の重要性を理解できたかもしれないし、あるいはたとえ理解できずとも鎌倉との確執を回避できたのではないか(※)。本書を読み終えてふとそんなことを思いました。
そういえば、私も当ブログにて源義経を扱った作品を色々と取り上げてきましたが、それらはいずれも「政治家・源義経」としては描いていません。鶴岡八幡宮の造営、京の治安維持、朝廷との折衝など、政治手腕が問われることもやっているのですが、そちらの方面は注目されていないようです。
※ただ、もしも生き永らえていたとしても、頼朝の死後に北条氏との権力闘争に敗れて粛清されたかもしれません。
【参考文献】
奥富敬之『義経の悲劇』角川書店
【源義経関連記事】
・白旗神社&伝義経首洗井戸
・電車での道順| 相州藤沢 白旗神社
・伝源義経首洗井戸 神奈川県藤沢市藤沢2丁目
・虎の尾を踏む男達
江戸歌舞伎「御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)」
尾崎秀樹『にっぽん裏返史』文藝春秋(4)義経の首
浄瑠璃「牛王の姫」
浄瑠璃「浄瑠璃御前物語」
高木卓訳『義経記』河出書房新社(1)
高木卓訳『義経記』河出書房新社(2)
高木卓訳『義経記』河出書房新社(3)
高木卓訳『義経記』河出書房新社(4)
高木卓訳『義経記』河出書房新社(5)
高木卓訳『義経記』河出書房新社(6)
高木卓訳『義経記』河出書房新社(7)
高木卓訳『義経記』河出書房新社(8)
武田静澄著『日本の伝説の旅(上)』社会思想研究会出版部(1)北海道の義経伝説
舞の本「未来記」
源義経公武蔵坊弁慶公之像(白旗神社)
謡曲「鞍馬天狗」
謡曲「舟弁慶」
謡曲「熊坂」
義経宿陣之趾の碑(満福寺)
義経松の碑(白旗神社)
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