戦艦ポチョムキン(1925年、ソ連)
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン
出演:アレクサンドル・アントノフ、ウラジーミル・バルスキー、グレゴリー・アレクサンドロフ
備考:史劇、プロパガンダ、無声映画
あらすじ…1905年、黒海の戦艦ポチョムキン号で水兵が反乱を起こす。
私が視聴したDVDは淀川長治監修の「世界クラシック名画100撰集」で、冒頭に淀川長治の解説が入っていました。子供の頃に彼の映画解説をテレビを観ていたことがあるから、これは懐かしい。
尚、解説の中では「イワン雷帝」にも言及していたので、関連記事の項目では「イワン雷帝」のレビュー記事を入れておきました。
ところで、この作品はソ連のプロパガンダ映画ということで敬遠もしくは拒否反応を示す方もいらっしゃるのかもしれません。そういう方々には無理強いはしませんが、思想云々を抜きにしてテンポの良さや構成の巧みさ、演出の凄さを味わってみるのもいいでしょう。
さて、この映画の最も有名なシーンは、オデッサの大階段で乳母車が階段を転げ落ちるところでしょうが、このシーンは他で色々と言われている(冒頭の淀川長治も言及している)ので、今回私はオデッサの大階段の別のシーンについて取り上げたいと思います。
銃撃を受けて血まみれになって倒れた男の子が出てくるのですが、母親がその子を抱きかかえて、物凄い形相で何かしゃべりながら兵士たちに向かって行きます。
「お願いです。撃つのをやめてください」(53:25)
「うちの子が重傷なんです」(53:47)
あの顔で、こんな生やさしい言葉であるはずがない。もっと強烈な悪罵、呪いの言葉を発していたんじゃないでしょうか。
最後に、ラストについて。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、ポチョムキン号の反乱兵たちにとって一番いい時に話が終わっています。私が以前読んだ『戦艦ポチョムキンの反乱』(リチャード・ハフ著)という本では映画と史実の相違点やその後の経緯なども書かれているのですが、それによるとポチョムキン号は補給を受けられずにどんどん追い詰められて行きます。
ここでの終幕とすることについては賛否が分かれるかもしれませんが、私なんかは「うまくやりやがったな」と思ってしまいます。
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