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神田千里『島原の乱 キリシタン信仰と武装蜂起』中央公論新社

 数多くの史料を駆使して島原の乱を追った本。
 ただ、史料の殆どは幕府側のものであり、一揆側のものは少ない。一揆側のものがあるとすればせいぜい、原城から脱走した者(落人)の調書や、『山田右衛門作口書写』などがあるくらいで、これらとて筆録しているのは幕府側の人間です。
 勝者が歴史を書いたのだと言ってしまえばそれまでですが、一揆側も資料を残すことは考えていなかった、というよりそこまで手が回らなかったのでしょう。『三国志正史』を書いた陳寿の如き人物は望むべくもなかったにせよ、インテリ向けのプロパガンダをやってくれる「革命の理論家」くらいはいてもよかった。

 話は変わりますが、本書では「乱の主役はあくまで立ち帰りキリシタンである」(P105)として、キリシタン信仰の立ち帰りを重視しています。立ち帰りとは、一度は棄教したものの再度その信仰に戻ることです。
 立ち帰りと聞いて私は、「ペトロの否認」を想起しました。十二使徒の一人ペトロは、追い詰められてイエスの面前でイエスを知らない(イエスの弟子ではない)と三度も否認したとか(ルカ福音書 22.54-62)。立ち帰りキリシタンの中には、この時のペトロと、キリシタン信仰を捨てていた頃の自分を重ね合わせた者もいたんじゃないかと想像した次第。

【参考文献】
神田千里『島原の乱 キリシタン信仰と武装蜂起』中央公論新社

【関連記事】
木下杢太郎「天草四郎」

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