ロレッタ・ナポリオーニ『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』文藝春秋
巻末の解説を池上彰氏が書いているのですが、その中に本書について簡潔に説明した文章があったので引用します。
では、「イスラム国」とは何者なのか。それをいち早く解き明かしたのが、この本です。「イスラム国」とは、単なる過激派の集団ではありません。それは、グローバリゼーションと最新のテクノロジーによって成長した「国家」なのだと著者は指摘します。彼らの「近代性と現実主義」が、これまで成功してきた理由です。(P188)
それでは、「イスラム国」の「近代性と現実主義」とは具体的には何なのか? 本書から一例を紹介します。
「イスラム国」が制圧した地域の住民は、軍隊がやって来たおかげで村の生活が改善されたと証言している。彼らは道路を補修し、家を失った人のために食料配給所を設置し、電力の供給も確保した。これらの事実からすると、二一世紀の新しい国家は恐怖と暴力だけでは維持できないことを「イスラム国」は理解しているのだろう。建国には住民のコンセンサスが必要だ、と。(P28)
イラクのマリキ政権にせよ、シリアのアサド政権にせよ、その他の武装勢力にせよ、その程度のことすらやっていなかったのかと思わないでもない。民心掌握の重要性くらいわかっていてもよさそうなものですが…。ともあれ、他の「ライバル」たちは、占領地域の住民の生活改善という点は見習ってほしいものです。
ところで、この問題の組織の名称についてですが、本書ではカギカッコ付きで「イスラム国」と呼んでいます。ですので、このレビュー記事では一応それに従って同様に表記しておきましたが、他の記事で私は「ダーイシュ(ISIS)」と表記していることを付け加えさせていただきます。
名称がややこしくてすいませんね。
【参考文献】
ロレッタ・ナポリオーニ『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』文藝春秋
【関連記事】
FINANCIAL TIMES 特別日本版 2015年12月17日(木曜日)
『外交青書 2014(平成26年版)』外務省(3)
内藤正典『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』集英社
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